新しいニュースがあったというわけではないのに、ツイッターのつぶやき数で女優の故夏目雅子さん(享年27)の名前が2015年11月7日から急上昇した。
NHK連続テレビ小説「あさが来た」のヒロイン、白岡あさ役の波瑠さん(24)が、夏目さんを彷彿とさせる演技をした、というのがきっかけだった。波瑠さんは過去にドラマで夏目さん自身を演じたこともあり、当時から似ていると評判になっていた。
映画「鬼龍院花子」の「なめたらいかんぜよ!」を彷彿
ツイッターをリサーチする「ついっぷるトレンドHOTワードランキング」では、15年11月11日午後1時半、「あさが来た」が3位にランキングされた。ツイッターではこの日に放送された波瑠さんの演技に注目が集まっていたからで、
「こんなに綺麗な人、世の中にいるんだぁ...て思った最初の人!夏目雅子さん!」
「オラの『夏目雅子』が帰ってきた!!」
「波留ちゃんに、一瞬、夏目雅子が憑依した」
「あさが来たのおかげで夏目雅子さん(鬼龍院花子)を思い出してくださる方がたくさんいるみたいで嬉しい」
などといった大量のツイートが出た。
実は、こうした「騒動」は15年11月7日から始まっていた。「あさが来た」の予告編のある場面が話題になったからだ。それを見て、1982年に公開された映画「鬼龍院花子の生涯」で夏目さんが放った凄味のきいたセリフ、「なめたらいかんぜよ!」を彷彿とさせた視聴者がたくさんいた、ということのようだ。
2年前にも夏目を演じ、「そっくり」と評判
このシーンは11日に放送された。内容は、炭鉱経営の責任者を任されたあさが九州の炭鉱の飯場に向かう。炭鉱で働く男たちは経営者が変わった事に腹を立てていて、全く仕事をしていなかった。あさを見て男たちは、「おなごと話すのは本当にバカらしい」「おなごに責任者を任せる経営者は腰抜けだ」「給料を倍出したら働いてやってもいい」などと詰め寄り、「帰れ!」などと脅す。あさの表情は見る見る変わり、
「この卑怯もん!!!」
と絶叫し、
「おなごやゆうて 舐めたらあきまへんで!!!」
と啖呵を切る。
実は波瑠さんは夏目雅子さん自身を演じたことがある。テレビ朝日系で2013年9月に放送されたドラマ「いねむり先生」がそれで、原作は夏目さんの元夫の伊集院静さん。夏目さんを失った伊集院さんが、喪失や絶望を乗り越える姿を小説化したものだ。この時から視聴者は波瑠さんと夏目さんは容姿を含め「そっくり」という評判が立った。
これは芸能界でも有名。「あさが来た」には15年12月21日の週から武田鉄矢さん(66)が福沢諭吉役として登場するが、武田さんはかつて、波瑠さんを「きれいだ」と褒めたたえ、「君は夏目雅子になるよ」と将来を予言している、と報道されている。ネットでは夏目さんばりに啖呵を切った波瑠さんの姿を見て、「鬼龍院花子の生涯」のリメイクを波瑠さん主演でやってほしい、といった要望も多く出ている。
NHKがこうした背景を意識して「あさが来た」を演出したかどうかは、定かではない。