タバコが切れるとイライラする「ニコチン依存症」の治療をめぐり、厚生労働省は2015年11月、公的医療保険が適用されていない20代の患者も保険の対象に含める方向で検討に入った。
禁煙治療は2006年度から保険で診療が受けられるようになったが、保険対象の患者と認められる条件の1つに、1日の喫煙本数に喫煙年数をかけた数字が「200以上」という基準がある。タバコを1日20本(1箱)吸っても、喫煙年数が10年を経過していないと条件にならない。20代の若者は年数が足りず、保険の対象外になるケースが多い。厚労省の試算では、20代の依存症患者の8割が対象外だという。保険が適用されると、患者の自己負担は原則8割になる。「200以上」の基準を撤廃して、20代の若者に禁煙治療が受けやすくすれば、将来の医療費の削減につながるというのが厚労省の狙いだ。
今後は厚労相の諮問機関の中央社会保険医療協議会で審議され、2016年2月までに結論を出す。2015年10月21日の会合では、日本医師会の委員は「意志の弱い若者が多いので推奨すべきだ」と理解を示した。一方、大企業の社員らでつくる健康保険組合の委員は「保険財政が厳しい時に、自己責任ですべき禁煙になぜカネを使うのか」と反発した。