地方から変わったタイプを求め、来年は変わる?
「開成や灘といった難関男子校に条件を満たす子は多いのに、高校側は、最も優秀な子を1人しか選べませんでした。東大が女子をほしいのは分かりますが、実際の志望者は少ないこともあります。もっと枠を広げて、各高校で文系1人、理系1人ならよかったと思います。受験生は学部単位で選ぶわけですから、理想は各学部1人でしょうね」(石原賢一さん)
推薦入試では、法学部が募集10人程度で24人、理学部が10人程度で32人、医学部医学科が3人程度で9人と、3倍前後に達した。これは、最も優秀な生徒が最も難しい学部を狙うため、必然的に集まってしまったという。その反動で、定員割れを起こす学部も出たわけだ。
出願条件について、東大はスーパー高校生を求めているわけではないと石原さんは言う。
「世界大会でなくても、高校の発表会で1位でもいい、といった話は聞いています。後は、東大がそれを見て判断するわけです。今の東大では、飛び抜けた才能の子ではなく、オールラウンダーの子が合格しています。将来的にはノーベル賞も取れるような人材を育てたいわけですから、東大は、地方などから変わったタイプを入学させて大学を活性化したいと思っています」
しかし、応募が多すぎては手間がかかり過ぎるため、東大は、適正な人数で選考したいと考えたのではないかという。そこで、募集条件を誇張しすぎた結果、思うように人が集まらなかったと石原さんはみている。
「推薦の条件が緩い大学は、志願者も多くなっています。東大もそのようにして、書類選考で落とせばよかったのではないでしょうか。こうしたことを考えて、今後の入試では改良されていくと思います」