教職員削減で財務省vs文科省が大バトル 子ども減れば先生少なくていいの?

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日本の先生の勤務時間、OECDで最長

   文科省側はこれに猛反発。10月28日に中央教育審議会(中教審、文科相の諮問機関)を開き、財務省案に強い文言で反論する異例の緊急提言を発表。その中で、教職員数については「機械的に削減すべきとの考え方は暴論であり、国家の未来に大きな禍根を残す」「あまりに非現実的」と批判。国立大交付金についても、「高等教育への投資を拡大させる国際基調に逆行する」などと訴えた。

   文科省は教職員数について、いじめへの対処、児童や生徒参加型の授業など学習内容の充実化などのためには、大幅な削減はできないという。すでに、2024年度の教職員数を現在より約5000人減にとどめる人員計画も策定済みで、これに基づき、8月末に提出した概算要求で、2016年度の削減数を60人にとどめるよう求めた。

   実際、就学援助を受けている子どもの割合は、20年前の16人に1人から、近年は6人に1人に増えており、発達障害などで通常学級とは別の教室で指導を受ける「通級指導」の対象も10年間で2.3倍になっている。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本の中学校教員の勤務時間は週53.9時間と参加34カ国・地域の中で最も長い。

   国立大交付金も財務省の方針通り削減分を授業料で賄うと、現在53万円の授業料が16年後の2024年度には40万円アップして93万円にもなる計算だ。文科省は、貧困家庭の増加をはじめ「格差社会」化が進む中で、国立大の授業料が上がると教育格差が拡大・固定化すると危惧する。

   年末の2016年度予算政府案決定に向け、両省の間で厳しい論争が予想される。その際、部活動の指導や書類作成などで教員の負担が大きいことは財務省も認めており、そのうえで、どういう対応が合理的か、という議論になる。

   財務省は「いじめや部活動にカウンセラーやコーチを増やすのが効果的で、そのために地域ボランティアなど外部の人材の協力を得るなどの施策に予算を振り向けるべきだ」と主張する構えだ。これに対して、「教員がいてこそ専門スタッフも機能する」と文科省は反論する。

   さらに、教員増の効果(教員減のデメリット)を示せと迫る財務省に、文科省の身内の中教審の北山禎介会長からも「教育の成果はどう測るのかも難しいものの、エビデンス(証拠)に基づいた議論は必要」との声も出ている。少子化時代の教員数確保という難問に文科省は答えを出せるのか。

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