大相撲がモンゴル勢に席巻された理由も...
エンダースさん以前にも、和式トイレが体にいいことを検証した専門家がいる。2003年にイスラエルの医学者ドブ・シキロフ博士は、こんな実験をした。17~66歳の健康な男女28人に、洋式トイレで座る方法と和式トイレのようにしゃがむ方法での排便にかかった時間と、必要な労力を調べた。その結果、和式トイレのポジションの方が、排便時間が短く、かつ簡単だった。
また、英国ロンドンのロイヤルフリー病院では、消化器担当のチャールズ・マレイ医師の提案で、患者たちに「和洋折衷トイレ」の使用を推奨している。これは洋式トイレの前に高さ15センチほどの台を置き、その上に足を乗せて前かがみに座って用を足すというもの。すると、和式トイレのしゃがんだ姿勢に近くなり、スムーズに排便できるようになったという。
和式トイレのしゃがむ姿勢は「スワットポジション」と呼ばれ、エクササイズの基本だ。スワットポジションの効用の1つとしてアキレス腱が鍛えられることもあり、以前から日本人は欧米人に比べて圧倒的にアキレス腱断絶のケガが少ないといわれてきた。「大相撲の力士は、立ち合いで瞬発力が要求され、あれほどの体重でぶつかり合っているのに、アキレス腱を切ったという話はほとんど聞かない。それは、前かがみになる蹲踞(そんきょ)の姿勢で稽古するからだ。しかし、近年、日本人力士が優勝できなくなったのは、下半身の筋肉を使わない洋式トイレの普及が原因ではないか」と指摘する専門家もいる。