順調なペースで体重が減る一方、体脂肪率が改善せず悩む木村清志さん(仮名、以下キヨシさん)。健康的なダイエットを続けるうえで継続的な運動が必須だが、なかなか一歩が踏み出せない。
前回、体を動かすとの約束を守れなかったキヨシさんだが、今回はどうやら大きな変化が見られたようだ。
「ソファーが友達」から「ボールが友達」に変わった
「体脂肪率24.5%」。この数字はさすがにショックだったのか、キヨシさんは「週末には子どもと外で遊びながら体を動かします」と宣言していた。その結果は...。
キヨシさん「土曜日に、近所の公園で息子と1時間ほどサッカーをしました」
編集部「おお、素晴らしい。さすが、やればできる男ですね」
キヨシさん「私から次男に『サッカーやろうぜ』って呼びかけたんです。軽く汗をかく程度の運動でしたが、気持ちのいい時間でした」
「ソファーが友達」と豪語していたキヨシさんが、「ボールが友達」に変わったのだから大きな前進だ。行動を起こすまでは億劫だが、いったん始めると気分爽快、もちろんダイエットには効果的だし、息子も大好きなパパに遊んでもらえて大喜び、といいことずくめの休日を過ごせた。
サプライズはこれだけではない。前回「宿題」となった、通勤時のウォーキングも実行したという。週1度だったが、終業後に会社から最寄り駅を通過してその先の駅まで歩いた。時間にしておよそ20分。10年以上勤めているが、初めての経験だった。
キヨシさん「結構長い道のりでした。途中ラーメン屋さんを見つけて心の底から立ち寄りたかったんですが、必死にこらえて駅までたどりつきました。普段とは違った風景が見えて楽しかったですが、やっぱり疲れましたね」
編集部「今回は超アクティブじゃないですか。これなら週2回、3回と『徒歩通勤』の回数を増やしていけそうですね」
キヨシさん「......(絶句)」
まだ、そこまでの覚悟はできていないらしい。
妻や息子たちは変化を感じ取っている
食生活では、朝食の習慣が徐々に身についてきた。長年朝食抜きだったのが果汁100%ジュースを飲むようになり、今回は「週3回、パンを食べた」と話す。以前、甘い菓子パンを食べて「気分が悪くなった」と失敗した反省を踏まえ、甘くないパンに変えたところ、これが体に合っていたようだ。会社に到着すると、かばんからゴソゴソと小さいパンを取り出して食べるのが日課となりつつある。それ以外の日は、ジュースを続けている。
ランチは野菜を意識したメニューを選び、帰宅後は煮魚や豆腐、ひじきといったヘルシーな食事を料理してもらった。ダイエット開始前の2015年9月中旬に計測したときは、身長178センチで体重83.5キロ。それから約2か月で、体重は5キロ減となった。課題だった体脂肪率も今回は22%台に落ちた。手放しでは喜べないが、前回より好結果だったのは確かだ。
初めて、キヨシさんの家族を取材した。妻や息子たちは、変化を感じ取っているようだ。
キヨシ夫人「食事の買い物の際にも(ダイエット中だと)意識しているのを感じます。以前は食後にすぐ甘いものをほおばっていましたが、考えるようになりました。野菜を食べるようになったのも、変わった点です」
何よりも驚いたのは「息子とサッカーする夫の姿」だったそうだ。妻はこう表現した。
キヨシ夫人「奇跡的な光景が見られました」
2人の息子も、キヨシさんについて「やせました。ポッコリお腹だったのに、少しへっこみました」と答えた。あれほど好きだった揚げ物も、「お母さんに『嫌だ』と言っています」。一方で、こんなかわいらしい「お願い」も口にした。
キヨシ長男&次男「大好きなファストフード店に行けなくなったので、早くやせてほしいです」
深刻な病気につながる「サルコペニア肥満」
ただし家族は、最も身近で見ているからこその厳しい指摘も飛び出した。妻によると、「家事を手伝っている気配は皆無。変化に期待します」とズバリ。家事も積極的になれば、ますますダイエットが上り調子になるのだが。
そこで、少々キヨシさんを「脅す」作戦に出た。
編集部「管理栄養士から聞いたのですが、『サルコペニア肥満』ってご存じですか」
キヨシさん「いえ、初耳です」
サルコペニア肥満とは、加齢により筋肉量が減少して機能が低下し、脂肪が逆に増える状態を指す。早い人は40代で発症するそうだ。管理栄養士によると「食事制限だけのダイエットや運動不足によるリスクも指摘されています」。キヨシさんの場合は筋肉量を測定していないので断言はできないが、食事だけでコントロールしようとしてかえって筋肉が落ちてしまい、運動していないこれまでを振り返ると、可能性ゼロとは言い切れない。
編集部「サルコペニア肥満は通常の肥満よりも糖尿病や高血圧などの生活習慣病リスク、さらに寝たきりのリスクが高まるとの報告があるそうですよ」
キヨシさん「ええっ、それは怖い...」
ちょっと「劇薬」だったかもしれないが、これが運動の習慣化につながるきっかけとなるか。もちろん家族も全面支援を約束している。
キヨシ夫人「なるべくほめておだてつつ、うまくダイエットできるようにサポートしていきたい」
キヨシ長男&次男「たくさん一緒に外で遊んで、僕たちのお菓子は隠して食べさせないようにがんばります」
キヨシさん、「食欲の秋」は諦めて「スポーツの秋」を満喫してください。