国際的にもかなり厳しい状況に
では理系学部は安泰なのか。5月に発表された日本の人口あたり論文数の国際ランキングは、クロアチアやセルビアなどの東欧諸国を下回る37位。以前は米国に並ぶ1~2位だった工学系論文数も中国、韓国、インドに追い抜かれ5位だという。
これは、国立大学協会による日本の学術論文数に関するレポート「運営費交付金削減による国立大学への影響・評価に関する研究」を鈴鹿医療科学大学学長・国立大学協会政策研究所所長の豊田長康さんが分析した通称「豊田レポート」で明らかになった。豊田さんは
「大学院を含め大学への公的研究資金の投入額と、論文の書き手となる大学院生や博士研究員(ポストドクター)、大学教官、研究機関の実動研究者数が少ないのが原因だ」
と指摘しており、大学関係者や研究者の間では「研究力が低迷し、日本の大学がこのままではダメになる」などと、波紋を広げている。
他にも、日本の高校生が、そもそも大学院まで行って勉強したいと考えていない、大学生の大学院進学率はアメリカや中国と比べ大きく差をつけられている、アメリカへ留学する日本人学生数が減り続けている、さらに米国の大学院での国別博士号取得者の数でも、中国などに大きく差をつけられている、など日本の学びの競争力はどんどん低下していることが各方面で指摘されている。
ことは「文学部問題」にとどまらず、日本の大学・大学院教育が全体として今や国際的にかなり厳しい状況にあることは確かなようだ。