NHKの報道番組「クローズアップ現代」などで取材を受けた男性が「やらせがあった」と告発していた問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)は2015年11月6日、「重大な放送倫理違反があった」とする「放送倫理検証委員会」の「意見」を公表した。
BPOの委員会はNHK関係者や男性らに聴き取り調査を行い、「情報提供者に依存した安易な取材」「報道番組で許容される範囲を逸脱した表現」があったとした。
指摘を受けたのは2014年5月放送の「クローズアップ現代」と同年4月放送の関西ローカル「かんさい熱視線」。出家詐欺をめぐり、ブローカーとされた男性が演技をするよう依頼されたと告発していた。NHKは2015年4月に出した調査報告書で、「過剰な演出があった」と認める一方、「やらせ」は否定していたが、BPOは「疑問を持たざるを得ない」とした。
一方でBPOは、「放送による表現の自由」の観点から、この問題に関連して総務省がNHKを厳重注意したことは「極めて遺憾」、同じく自民党が番組関係者から事情聴取したことについては「厳しく非難されるべきである」と、それぞれ批判した。