新日鉄住金が韓国ポスコと300億円で「和解」した事情 氷山の一角の産業スパイに新法は抑止力になりうるのか

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今回の事件が契機で法律改正、罰則も強化

   具体的には、2015年7月に成立した産業スパイを防ぐ改正不正競争防止法がある。2016年早々にも施行される改正法は、秘密を盗んで利用した企業への罰金の上限を、従来の個人1000万円、法人3億円から、それぞれ3000万円、10億円に引き上げ、秘密の不正取得・使用で得た収益の没収も可能にしたほか、産業スパイ行為の未遂にも新たに刑事罰を科す。例えば、情報流出を狙ってコンピューターウイルス付きメールを送っただけでも罪に問えるようにした。さらに、これまでは訴える側に不正行為を立証する責任があったが、被告側にも「違法に取得した技術を使っていない」ことを立証する責任を負わせた。

   こうした厳罰化は、今回の裁判の高額な和解金ともども、新たな産業スパイ事件の発生を防ぐ上で、一定の抑止力になると期待される。

   ただ、それでも不正行為は容易に根絶できない。企業は高度な秘密にアクセスできる人を限定し、重要情報を簡単に社外に持ち出せないよう、厳重な管理システムを設けるのはもちろん、退職技術者との秘密保持契約といった対策をこれまで以上に強化する必要がある。

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