視聴者に分かりやすくしようとした結果、視聴者に「ウザい」と思われる
「ネットの厳しい声も致し方ないのではないでしょうか。実際つまらないですし」
そう語るのは、東京都内の番組制作会社に勤める20代の社員だ。制作者の1人として、視聴者同様今の番組を「つまらない」と感じている、と説明する。
ただ、つまらなさを作り出す原因は「苦情」だけではない。視聴者の可処分時間をスマートフォンに奪われた、視聴率至上主義に陥った、制作費が少なくなった、人材が流出している、という制作側の問題だけでなく、芸能人の内輪ネタが多い、という出演者側の問題まで、すでにあらゆる原因が報じられている。
前出の番組制作会社社員は、制作側の「視聴者目線」が空回りしていると話す。
「番組にテロップが多いのは、視聴者に分かりやすくしようとした結果なんです。実際、プレビュー(編注:放送前のVTRチェック)では『これじゃあ視聴者が分からないから』という意見もたくさん出ます」と明かす。画面に表示されるテロップは、うるさいとも言われる演出だ。それが視聴者への配慮から生まれたとすれば、皮肉と言える。
それに加え、制作側の「アイデアの枯渇」も挙げる。「単純につまらない企画が増えたのだと思います。面白い番組は今でも面白いですし、テロップを入れたからといって面白い企画がつまらない企画になることはありません」という。
取材の最後に、「どの番組も死ぬ気で一生懸命作っていて、手を抜いているわけではありません。ただ、その結果視聴者に認められないものばかり作っているということなのでしょう。悲しいですが」とつぶやいた。