ソフトバンクの新CMが「不快だ」「夢を壊すなよ」などとネット上でバッシングを浴びている。小泉今日子さんが演じる「セーラームーン」や、「ゴルゴ13」「あしたのジョー」といった大ヒットアニメの「元」主人公を登場させたCMだが、原作の設定を完全無視しているというのだ。
特にアニオタと呼ばれるアニメファンは「愛と敬意が感じられない」などと怒っている。
「原作に対する愛と敬意を微塵も感じない」
話題になっているのは2015年10月20日から放送が始まったモバイルの新CM「MOON RIBAR」編。設定は人気アニメの主人公たちがスマートフォンを通じてコミュニケーションを楽しむというもの。キャラは時を経て当時と違った職業などに就き、互いがスマホで連絡を取り合い、「元 セーラームーン」役の小泉今日子さんがママをしているバーに集まってくる、といった展開になっている。出演しているのは小泉さんのほかに、「元 鉄腕アトム」役の堺雅人さん、「元 あしたのジョー」役の又吉直樹さん、「元 ゴルゴ13」役の小日向文世さん、「元 ケンシロウ」役の市川海老蔵さん、「元 ちびまる子ちゃん」役の広瀬すずさん、「元 おぼっちゃまくん」役の満島真之介さんだ。
「元」と付いているため、出演者らが何らかの形で過去に作品に関わっていたのだろうと思っている人もいるが、空想で作り上げた世界であり、基本的には原作と関わりはない。年を経て「ゴルゴ13」は首相になり、「元 あしたのジョー」は小説家、「元 おぼっちゃまくん」は貧乏な動画クリエーター、「元 鉄腕アトム」はスーツを着たサラリーマン風で登場する。
このCMを見て「原作に対する愛と敬意を微塵も感じない」などと真っ先に批判の声をあげたのがアニオタたちだ。原作設定を全く無視したもので、知らずに制作したのではないか、などとツイッターで抗議が起きた。「元 セーラームーン」に関しては、セーラームーンは年を取らないはずなのにオバサンになっている、とか、セーラームーンのシンボル的なアイテム「ムーン・スティック」をスマホの自撮り棒に使ったのは許せない、といったものもある。「ムーン・スティック」は妖魔にされた人間を浄化し、生命力を与えるエネルギーを出すアイテムだからだ。
「ゴルゴ13」は漫画の連載続いているから「元」と付けるのは失礼
その他、「元 あしたのジョー」が弱体化し、ボクシングの構えさえできていない、とか、「元 鉄腕アトム」は太陽に突っ込んで消滅したはずだし、「元 ゴルゴ13」は漫画の連載が続いているから「元」と付けるのはファンに対して失礼だ、「元 ちびまる子ちゃん」がバーでママの手伝いをしているけれども本来は漫画家になっているはず、などといったことが指摘された。そして、
「夢を壊すなよ」
「アニメ文化は日本の誇り、その悪用は日本の恥」
「マニアが些細な事にヤボな突っ込み入れてるんだろうと思ったら、ド素人の俺でもおかしいと分かるレベルだった」
「わざと批判されることで注目を浴びようとしているのか? それとも批判されるとは予想もできず、本気でウケると思って作ったのか?」
などといった書き込みが掲示板などに出ている。
CMの設定はどのような狙いがあるのかをソフトバンク広報に問い合わせたが、返事はないままだ。