ハンバーガーショップ最大手の「マクドナルド」が業績不振にあえぐなか、「モスバーガー」を運営するモスフードサービスが好調なようだ。
2015年度のモスバーガーの売上高(既存店ベース)は、4月こそ前年同月比1.9%減だったが、上期(4~9月期)ベースでみると前年同期に比べて6.5%増えた。上期の客数は2.7%減ったものの、客単価は9.5%増、全店売上高も6.0%増と伸びた。
産地直送の野菜で品質を訴求
モスバーガーの上期(4~9月期)は、客数こそマイナスが続いたが、売上高や客単価は好調に推移した。運営するモスフードサービスの2015年上期は、連結営業利益が15億円前後と前年同期と比べて倍増したようだ。中間決算の発表は11月6日だが、4日付の日本経済新聞が報じた。従来予想の6億5000万円を大幅に上回ることになる。売上高は6%増の340億円程度だったとみている。
原材料高のため、5月に主力のハンバーガー類を値上げしたが、産地直送の野菜を使うなど品質を訴求して客足の落ちを食い止めた。16年3月期通期の営業利益は前期比22%増の19億円を見込んでいるが、それを上振れする公算が大きいとみられる。
モスバーガーはデフレ時代から一貫して値下げ競争に組みしなかったことに加えて、いち早く「食の安全」に目を向けてきた。
企業アナリストの大関暁夫氏は、「早くから野菜を取り入れて健康志向に取り組んできたことが、功を奏したのだと思います」と話す。最大手の日本マクドナルドホールディングス(HD)と同じことをしていては生き残れないという、「2番手ならでは戦略だった」ともいえるが、そのマックが「食の安全」でつまずいたこともあって、消費者が比較しやすかったともいえる。
「注文を受けてからつくるというやり方は、お客にとっては好感がもてます。新鮮さや『食の安全』という、手間のかかること、コストがかかることをあえて続けてきたことは評価に値します」という。
もちろん、「モス躍進」の背景には「マック」の凋落がある。商品の値上げを打ち出したかと思うと、今度は低価格商品を投入するなど、マックはダッチロールを繰り返している。
10月26日からは新メニューの「エッグチーズバーガー」や「バーベキューポークバーガー」「ハムレタスバーガー」の3種類の「200円バーガー」を、定番商品として投入。「おてごろマック」として、単品で200円(以下、税込み)、好みのサイドメニューやドリンクを選べるセットメニューを500円で販売している。