初の中台首脳会談で苦肉の「折衷案」 「指導者」同士が「さん」で呼び合う

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   中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が2015年11月7日に、シンガポールで首脳会談に臨むことになった。1949年の中台分断以来、両岸の首脳による会談が実現するのは初めてだ。ただ、今でも中台は互いの統治権を認めておらず、「中華人民共和国主席」「中華民国総統」という互いの肩書きを認めるわけにはいかない。

   そこで中台の当局者が用いることになった折衷案が「指導者」という呼び名だ。実際の会談でも、互いを肩書ではなく「さん」と呼び合うのだという。

  • 首脳会談は11月7日にシンガポールで行われる(写真はイメージ)
    首脳会談は11月7日にシンガポールで行われる(写真はイメージ)
  • 首脳会談は11月7日にシンガポールで行われる(写真はイメージ)

協定の署名や共同声明の発表は行わない

   首脳会談は2015年11月3日深夜(日本時間4日未明)、最初に台湾側から発表された。台湾の中央通訊社(中央社)が台湾当局の高官の話として伝えたところによると、習氏と馬氏はシンガポールのシャングリラホテルで20分間にわたって会談し、別々に記者会見を行い、それから夕食をともにするという。

   台湾総統府の陳以信報道官は会談の目的を、

「両岸の平和を確固たるものにし、台湾海峡の現状を維持すること」

にあると説明。協定の署名や共同声明の発表は行われないという。総統府側の習氏の呼称は「大陸の指導者」だった。

   中国側も、国営新華社通信が11月4日朝になって台湾との窓口機関にあたる「国務院台湾事務弁公室」の張志軍主任(閣僚級)の発言として、会談が決まったことを伝えた。この新華社の記事では「習近平」「馬英九」の固有名詞は登場せず、「両岸の指導者」とあるのみだ。張氏の発言によると、

「両岸の政治的違いが解決されていない状況で、『ひとつの中国』の原則に基づいて行われる現実的な取り決め」

に従って、互いのことを日本語の「さん」にあたる「先生」と呼び合うことで合意したという。

   新華社の英語版の記事では両首脳の名前が登場。習氏には「主席」(President)という肩書を用いる一方で、馬氏には、やはり指導者(leader)という表現を使った。

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