毎年11月ごろから流行が本格化するノロウイルス。2015年冬は「新型」ウイルスが流行の兆しを見せている。
各種メディアの報道によれば「新しいウイルスには免疫を持つ人が少ない」として、感染拡大が懸念されている。
これから半年近く「特別な警戒」が必要
ノロウイルスによる食中毒は一年中発生しているが、11月ごろから患者数が急増し、流行は春先まで続く。これから半年近く「特別な警戒」が必要ということになる。とくに今シーズンは新型ノロウイルスの発生により、大きな流行になるのではないかとの懸念が広がっている。NHKが報じたところによると、今年9月以降に国内で発生したノロウイルスの集団感染は、ほとんどが遺伝子の変異した新型ウイルスによるものだったことがわかり、厚生労働省は注意を呼び掛けている。
ノロウイルスは主に手指や食品などを介して経口感染し、おう吐や下痢、腹痛などを引き起こす。健康な人は1~2日で軽快することがほとんどだが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者などでは、脱水症状を起こしたり、吐しゃ物をのどに詰まらせたりして死亡するケースもある。
メディアで「新型、新型」と報道されているので、従来のノロウイルスより強力なのではないか、子どもが感染して重症化したら......などと悪い想像をしてしまう。「新型」は従来のノロウイルスと比べて何が違うのか、注意すべき点について、アンチエイジング医師団のメンバーで、感染症内科専門の岩田健太郎医師に聞いた。
「新しいタイプのウイルスが見つかったのは事実ですが、現段階で従来のものより毒性が強いという根拠は強くありません。『過去に免疫がないから』という話もありますが、そもそもノロウイルス感染症には免疫が成立しにくく、何度でも再感染します。基本的には感染経路や症状、対処法が変わるわけではないので『新型』という言葉に惑わされず、従来通りの対策をきちんととるのが肝心です」
「新型」だからといって、特別な違いがあるわけではないようだ。
ノロウイルスは感染力が強く、ウイルス粒子10~100個で感染・発病する。急性期の患者の便には1グラム中に1億個、吐物には100万個のウイルスが存在するというから、ほんの少し触れただけでも感染する確率は高い。服や敷物に付着することもある。目に見えないウイルスから身を守るには、どうすればよいのだろうか。