切っても涙が出ないタマネギ 商品化に10年「涙ぐましい」努力

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   切っても涙が出ないタマネギをハウス食品が開発、「スマイルボール」と名付けて2015年10月27日から東京の伊勢丹新宿店で、また10月29日からネットスーパーのオイシックスで、ともに数量限定での発売を開始した。

   同社によると、1990年代から主力のレトルトカレーの製法を研究する過程でタマネギの成分を調べ始めた。実は、もともとタマネギの中には目が痛くなる成分は入っていないことは知られていた。包丁で切った時に初めて目が痛くなる成分が作られ、それが目に入ると涙が出るのだ。しかし、どうやって涙を誘う成分ができるのかは長年、料理界と化学界の謎だった。

  • タマネギを切った瞬間に初めて涙が出る成分が作られる
    タマネギを切った瞬間に初めて涙が出る成分が作られる
  • タマネギを切った瞬間に初めて涙が出る成分が作られる

開発チームはイグ・ノーベル賞受賞

   当初、催涙成分はタマネギを切った時に自然発生すると考えられていたが、2002年に同社の研究チームが催涙成分を作り出す酵素の働きの仕組みを解明、酵素の発生を抑制する技術をニュージーランドの研究者と共同開発した。この「涙の出ないタマネギ」の開発で、同社の研究チームは2013年に「人々を笑わせる愉快な研究」に贈られるイグ・ノーベル化学賞を受賞した。

   ただ、「涙の出ないタマネギ」の実用化までは、それこそ涙ぐましい努力が10年続いた。遺伝子操作ではなく、一般的な品種改良の手法を用いたため、毎年、畑で栽培して収穫しては、タマネギを切って涙が出るか、成分を調べる作業を繰り返した。その数は1万個近くに達したという。

   こうしてできた「スマイルボール」は、目にしみないことに加えて、特有の辛みがないため、タマネギ本来が持つ甘みがほんのりあるという。値段は約400グラム(中玉2個相当)で税別450円。

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