いまだ変動相場制度には程遠い為替レート
ただし、中国の金融改革は、なお道半ばというのが国際的に一致した見方だ。人民元レートについても、基準値の上下一定幅以内でしか売買ができないという規制は残り、今回の改革後も、当局は徹底した為替介入で「行きすぎた変動」を容認しないなど、日米欧のような変動相場制には程遠い。中国への投資、中国からの資金引き揚げなど資金移動にはなお厳しい制限がある。預金金利についても、人民銀は従来の政策金利である基準金利を残し、「(政策の)基準としての一定の機能を発揮する」としていて、こちらも自由化の度合いは見極めが必要とされる。
世界の外貨準備に占める各国通貨のシェアは、米63.8%、ユーロ20.5%、ポンド4.7%、円3.8%で、人民元は1%程度とされる。「人民元が準備通貨や決済通貨にどの程度採用されるかは中国の通貨、金融の自由化や市場の育成など改革の進展にかかっている」(エコノミスト)。日本にとっても、同じアジア通貨として競合するだけに、円の魅力をどう高めるか、より重い課題を背負うことになる。