老朽化による建て替えのため、2015年8月末で閉鎖された「ホテルオークラ東京」の本館で使われていた家具や備品などが11月4日から、インターネット・オークションで売りに出される。
ホテルオークラは1962年5月に開業。以来53年にわたり、国内外から数多くの人に親しまれ、愛されてきた。日本のモダニズム建築の最高傑作といわれ、なお惜しむ声は少なくない。
「思い出になる品、身近に置きたい」の声に応える
ホテルオークラは「Charity Project for Music」と題した、本館で使われていた家具や備品などのネットオークションを実施する。「お客様との『想い出の共有』と『社会への貢献』が目的」という。
多くの人から「本館を少しでも残してほしい」などの惜しむ声や、本館で使われてきた家具や備品などを思い出の品として「身近に置きたい」「譲ってほしい」といった要望や問い合わせが殺到したことから、ネットオークションを利用して売り出すことにした。
ただし、「オークラ・ランターン」の愛称で親しまれたつり下げ式の照明や満開の梅の花のように見立てたテーブルと椅子、六大陸各都市の時間を刻んできた世界時計など、本館を象徴する意匠やインテリアで、新本館に引き継がれるものは対象外。
オークションには、ヤフージャパンが運営する日本最大級のオークションサイト、「ヤフオク!」が提供するリユース活用型のクラウドファンディングサービス「reU funding」を活用する。
「reU funding」でのオークションは、2015年11月4日にスタートし、12月20日で終了する。58品目343点の出品物を用意した。開業時から大切に受け継がれてきたレストランの椅子や、客室のロイヤルスイートのダイニングテーブルとチェアのセットやレジデンシャルスイートのソファセット、インペリアルスイートのサイドボード大理石トップなどで、これらを1円からのオークション形式で販売する。
収益金は、困難な立場にある子どもたちにオーケストラ教育を行っている団体への支援に充てる。ホテルオークラの家具を自宅で使うことができて、かつ社会貢献できるというわけだ。