東海道新幹線線路に「ドローン落下」という新事実 横浜の慶大キャンパスから飛来、2時間後に回収で学内で大問題

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   小型無人飛行機(ドローン)がコントロールできなくなって「行方不明」になる事例が相次ぐなか、2015年4月末にはドローンが東海道新幹線の線路敷地内に落ちるトラブルが起きていたことがJR東海への取材で分かった。ドローンは、線路から至近距離にある慶應義塾大学矢上キャンパス(横浜市港北区)から飛んできた。

   15年10月にも広島県尾道市で山陽新幹線の線路にドローンが落ちるトラブルがあったが、深夜の出来事で運行への影響はなかった。これに対して、東海道新幹線でのトラブルは新幹線が運行されている時間帯に発覚。JR東海では、新幹線が来ないタイミングで取り除いたため列車に遅れはなかったと説明しているが、大学内では「大問題」に。半月後には「禁止令」が出た。

  • 慶大矢上キャンパスのグラウンドの真下には新幹線のトンネル(写真中央)が通っている(国土地理院撮影の空中写真(2007年撮影)をJ-CASTニュース編集部で加工)
    慶大矢上キャンパスのグラウンドの真下には新幹線のトンネル(写真中央)が通っている(国土地理院撮影の空中写真(2007年撮影)をJ-CASTニュース編集部で加工)
  • 慶大矢上キャンパスのグラウンドの真下には新幹線のトンネル(写真中央)が通っている(国土地理院撮影の空中写真(2007年撮影)をJ-CASTニュース編集部で加工)

「上下線の線路のちょうど真ん中あたり」に落ちる

   最近の同じような事故としては、15年9月に、兵庫県姫路市の世界遺産・国宝、姫路城大天守にドローンが衝突。15年10月20日未明には、山陽新幹線でもトラブルが起きた。新尾道駅(広島県尾道市)から約700メートル西の線路敷地内で、線路の保守点検をしていたJR西日本の社員がドローンを発見して警察に通報。線路の中央部から4メートルほど離れた場所に落ちていたという。列車が運行していない時間帯の出来事だったこともあって、列車運行への影響はなかった。同日夕方になって、市内在住の男性会社員が「コントロールがきかなくなった」などとコントローラーを持って警察署に名乗り出ていた。

   これに似たトラブルが、山陽新幹線よりもはるかに沿線の人口密度が高い東海道新幹線でも起きていた。矢上キャンパスは理工学部の3~4年生や大学院の理工学研究科の学生が通うキャンパスで、大半の学部の1~2年生が通う日吉キャンパス(横浜市港北区)から徒歩15分ほどの丘の上にある。矢上キャンパスのグラウンドの真下には新幹線のトンネルが通っている。

   JR東海の広報部によると、同社がトラブルを把握したのは4月30日15時48分。慶大からJR東海に対して「東海道新幹線線路内にドローンが落下した」という連絡があった。係員が確認したところ、品川駅~新横浜駅間にドローンが落ちているのを発見。品川~新横浜駅間のどの地点に落ちていたかは明らかではないが、「上下線の線路のちょうど真ん中あたり」に落ちていたという。

   JR東海では、

「徐行をかけ、安全を確保した上で、列車が来ないタイミングで取り除きました」

と説明。列車の遅れもなかったとしている。

落下から半月後、事故防止理由に「禁止令」

   ドローン落下から半月が経った5月13日には、矢上キャンパス所属学生に対して、理工学部の学部長と事務局長の名前で、

「キャンパス周辺における事故防止のため、矢上キャンパス内では、遠隔操作で操縦する無人機等(ドローン等)の使用を一切禁止します」

という「禁止令」がメールで送信されている。

   慶應義塾広報室では、

「お問い合わせの件につきましては、お答えを差し控えさせていただきます」

とのみコメントし、事実関係の確認を拒否した。

   ただ、湘南藤沢キャンパス(SFC)の学生が運営しているニュースサイト「SFC CLIP」によると、SFC内のドローン対策を特集する記事(2015年10月30日付)の中で、慶應義塾の職員が

「実は、矢上キャンパスで深夜にドローンが新幹線の線路上に落下したということがあり、事故には繋がらなかったものの非常に大きな問題となりました。その結果、新幹線が近くを通っている矢上キャンパスと日吉キャンパスではドローンの使用が禁止となりました」

と事実関係を明かしている。

   この職員の発言の「深夜に」という部分が正しいとすれば、JR東海の説明を踏まえると、落下から通報までには半日程度のタイムラグがあったことになる。

   ドローンをめぐっては、国交相の許可がない限り人や家屋が集中している地域や空港周辺の飛行を禁じる改正航空法が9月4日に成立し、12月10日に施行されることになっている。この「人や家屋が集中している地域」は、1平方キロメートルあたり4000人以上が住む「人口集中地区」を念頭に置いている。


(11月6日13時20分追記)

   11月6日午後、慶應義塾広報室がJ-CASTニュースの取材に対して「4月30日の13時45分頃、大学院生から『ドローンが風に流されて見失った』旨の連絡を受けた」ことを明らかにしました。これにともなって、見出しの「『半日後』?に回収で」を「2時間後に回収で」に差し替えます。慶大では、JR東海への通報に2時間かかった理由を「事務室内で情報共有したり、操縦していた大学院生が落下地点を確認したりした上で連絡したため」と説明しています。ドローンは長さ30センチ、重さ1キロ程度だったということです。

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