食べるものの重要度を9段階のピラミッドに
米農務省が、わかりやすく国民に紹介するため「地中海式ダイエット・ピラミッド」という図を作っている(図参照)。9段階の底辺にある食品ほど重要で、上に行くほど控えるのが理想だ。この図を見ながら地中海料理の内容と健康への効果を説明しよう。
(1)野菜や豆類、きのこ類を豊富に食べる。地元でとれる新鮮な食材を丸々食べるという考え方で、野菜などの量は和食の2倍といわれる。食物繊維をはじめ、抗酸化作用の強いビタミン類やフィトケミカルを多くとるため活性酸素から体を守り、がんや認知症予防につながる。
(2)パスタやパン、米などの主食は、白く精製された小麦粉や白米ではなく、全粒粉や玄米を使うため、血糖値が抑えられる。
(3)牛や豚の肉を月に数回程度に控え、魚介類を多く食べる。青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン)が脂肪を燃やし、貝やタコ、イカに含まれるタウリンが血中コレステロールを下げ、血圧を安定させる。
(4)卵は週に3~4個以内に。お菓子やデザートなど甘いものを控え、かわりに果物を毎日食べる。砂糖の代わりにハチミツを。
(5)ナッツ類を毎日食べる。ナッツ類は植物の果実・種子なので、あらゆる栄養素がぎっしり。たとえば、アーモンドは食物繊維がゴボウの2倍、鉄分はホウレンソウの6倍、特に抗酸化作用が強くて老化を防ぐビタミンEはカボチャの7倍だ。
(6)1日にグラス1~2杯のワインを飲む。ワインに含まれているポリフェノールが、悪玉のLDLコレステロールを減らして血液をサラサラに。動脈硬化を予防してくれる。ただし、飲みすぎないように。
(7)味付けは、オリーブオイルをベースに塩コショウやレモン汁で。ハーブをうまく使い塩分を控えめに。マヨネーズやケチャップなど塩分が多くて高カロリーのものは使わない。
(8)チーズやヨーグルトなどの乳製品は、カロリーが高いのでほどほどに。
(9)そして、地中海料理の最大の目玉は、油はすべてオリーブオイルを使うことだ。オリーブオイルには様々な健康効果があるが、一番の特徴はオレイン酸が70~80%も含まれていること。オレイン酸には血中のコレステロール値を下げる働きがある。ほかの脂肪酸でも同じ働きをするものは多いが、悪玉も善玉も両方下げてしまうものがほとんど。オレイン酸は悪玉だけに効くのがすごいところだ。酸化しにくい油なので、加熱料理にも使える。