戸惑う石破地方創生相とはかみ合わず
一方、昨秋の第2次改造内閣で、地方選をにらんでの看板政策「地方創生」の司令塔とされた石破茂地方創生相は戸惑いを隠さず、9日の会見で「国民には『何のことでございましょうか』といった戸惑いが、全くないとは、私は思っていない」と語った。19日に加藤担当相と会談し、地方創生との政策の仕分けなどについて協議したが、加藤氏も「お互いのイメージを確認した。具体的な作業はこれから」と言う程度で、石破氏は20日の会見で「加藤さんと一致したのは『これ(1億総活躍)って国民運動なんだよね』ということ」と述べるなど、いまのところ十分にかみ合っていない印象だ。
霞が関でも、厚労省や文科省など一部を除くと、「どこまでが『1億』関連か、全体像が見えない」(ある省の幹部)と様子見の段階で、「基本的に概算要求の範囲内で対応することになる」(別の省関係者)との姿勢が目立つ。関連する既存の施策を「1億枠」として予算要求する、という、よくあるパターンだ。
いずれの政策も、最終的には予算を伴うもので、「少子化も介護も、カネさえドーンと付けば、政策が大きく進む」(霞が関筋)。それを財政再建とどう並行して進めるか。一筋縄ではいかない日本の現状が、今回の会議の設置で変わるわけではない。予算を査定する財務省からは「中身があればいいが、ムダなものを認めない」とけん制球が飛ぶ。「間違っても参院選対策や目先の人気取りのためのバラマキ政策に矮小(わいしょう)化してはならない」(産経新聞20日「主張」)のは当然のことだ。