駅チカの空き家、48万戸もあった 「処分しづらい」理由とは

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   少子高齢化などを背景に、閑静な住宅街など起きている「空き家」問題。全国の空き家約320万戸のうち、交通利便のよい駅から1キロメートル以内にあり、簡単なリフォームで利用できる住宅が15%の約48万戸にのぼることがわかった。

   国土交通省が総務省の統計などをもとに推計。「交通網が発達している東京都では2キロメートル以上離れた立地にある空き家のほうが少ない」(住宅政策課)という。

  • じつは空き家の多くが「駅チカ」だった!(画像はイメージ)
    じつは空き家の多くが「駅チカ」だった!(画像はイメージ)
  • じつは空き家の多くが「駅チカ」だった!(画像はイメージ)

東京の空き家、5万戸超の一戸建て住宅が最寄り駅まで1キロ以内

   国土交通省が2015年10月26日に開いた社会資本整備審議会・住宅宅地分科会によると、2013年時点で別荘などの二次的住宅や賃貸用、売却用を除く、「その他空き家」にあたる約320万戸のうち、耐震性があり、腐朽や破損などのない空き家を約103万戸と試算。このうち駅から1キロメートル以内にあり、簡単な手入れで活用可能な空き家は、全国で約48万戸にのぼると推計した。

   なかでも、東京都の場合は一戸建て住宅などで5万5400戸が最寄り駅まで1キロメートル以内にあった。駅から1キロ以上2キロ以内の場所にある空き家は1万6800戸、2キロ以上になると8600戸と少ない。

   また、マンションなどの共同住宅でも、5万6300戸が最寄り駅まで1キロ以内。駅から1キロ以上2キロ以内が1万3800戸、2キロ以上になると1600戸と、駅チカの空き家のほうが圧倒的に多いことがわかる。

   すでに住宅ストック数は総世帯数を上回り、「家余り」の状況にある。それでも、交通や買い物などの利便性がよい好立地の物件であれば、住みたい、あるいは相応の価格で売却できる、またリフォームして賃貸物件として活かせるなど、空き家にはなりづらいとみられてきたが、どうもそうではないようだ。

   東京都豊島区の空き家率15.8%は、東京都23区内で最も高い。駅チカの空き家も少なくないようで、「空き家のようにみえても、はっきりわからない一戸建て住宅があったり、外見からはあまり目立たないのですが、池袋駅近くの明治通り沿いなどにも1階は店舗が入居して埋まっているようにみえる共同住宅の2、3階が空き家だったりするケースはあります。」と話す。

   市街地などの空き家を有効利用していくため、豊島区では「リノベーションスクール」を開講。民間といっしょに「再生プラン」を作成し、事業化することで空き家が立地するエリアの価値向上を図る。現在、2件の事業化を進めており、「スクールでの実績を重ねるで、空き家のオーナーさんが参考にして、動いてもらう効果を期待しています」という。

「空き家」を取得するケース、56.4%が遺産相続時

   一般に、放置された「空き家」は景観が悪くなるだけでなく、ゴミの不法投棄のたまり場になったり、放火や不法侵入など犯罪の温床になる懸念があったりするほか、地震などの災害発生時に倒壊して、避難路をふさぐといった大きな問題を生じさせる可能性が高いとされる。町のイメージダウンにもつながる。

   処分しづらい古い家が適切な管理もされずに劣化が進み、資産価値も下がるという悪循環が生じている。

   空き家が減らない原因について、遺産相続時の対処を指摘する向きは少なくない。国土交通省の調べによると、「その他空き家」の住宅を取得するときの経緯で、最も多かったのが「相続して取得する」ケースで、56.4%にのぼった(2014年空き家実態調査、サンプル数897、集計中)。

   たとえば、相続時に故人の住まいを売る、売らないで家族が揉めたり、また住宅を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍にハネ上がったりするので、とりあえずそのまま置いておくことがある。さらには現行の建築基準法に合致しないなどで、新築住宅が建てられず、処分できないといったケースもある。

   一方、腐朽して破損したり、耐震性などに問題があったりする場合、取り壊して建て替えるには多額の費用がかかる。借地権付きの古い住宅ではいろいろ問題が発生して、放置されるケースは少なくない。

   いずれにしても、相続発生時にきちんと対処しないことをきっかけに「放ったらかし」にされることが多いようだ。

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