「空き家」を取得するケース、56.4%が遺産相続時
一般に、放置された「空き家」は景観が悪くなるだけでなく、ゴミの不法投棄のたまり場になったり、放火や不法侵入など犯罪の温床になる懸念があったりするほか、地震などの災害発生時に倒壊して、避難路をふさぐといった大きな問題を生じさせる可能性が高いとされる。町のイメージダウンにもつながる。
処分しづらい古い家が適切な管理もされずに劣化が進み、資産価値も下がるという悪循環が生じている。
空き家が減らない原因について、遺産相続時の対処を指摘する向きは少なくない。国土交通省の調べによると、「その他空き家」の住宅を取得するときの経緯で、最も多かったのが「相続して取得する」ケースで、56.4%にのぼった(2014年空き家実態調査、サンプル数897、集計中)。
たとえば、相続時に故人の住まいを売る、売らないで家族が揉めたり、また住宅を取り壊して更地にすると固定資産税が6倍にハネ上がったりするので、とりあえずそのまま置いておくことがある。さらには現行の建築基準法に合致しないなどで、新築住宅が建てられず、処分できないといったケースもある。
一方、腐朽して破損したり、耐震性などに問題があったりする場合、取り壊して建て替えるには多額の費用がかかる。借地権付きの古い住宅ではいろいろ問題が発生して、放置されるケースは少なくない。
いずれにしても、相続発生時にきちんと対処しないことをきっかけに「放ったらかし」にされることが多いようだ。