東京都の練馬区役所庁舎を爆破する、などといった脅迫文がネット上の掲示板で相次いで見つかり、今度は直接区役所に「ガチで爆破しますを 覚悟しろナリ 全員ポアナリ」といったメールが送られた。警視庁は威力業務妨害の疑いで捜査を続けている。
なぜ執拗に区役所庁舎を狙っているのか、理由は全く分かっていないが区役所庁舎と一緒にある法律事務所も爆破すると書かれていて、独特の言い回しの脅迫文から、あるネット上の「事件」を連想する人もいる。
「当職は本気ナリよ 覚悟しろナリ 全員ポアなり」
2015年6月14日にネットの「したらば掲示板」で見つかったのは、
「無能警察は早く私を逮捕してみなさいよ 無理だがね 日本の時代遅れポリスじゃ無理よむーり この書き込みのIPでも開示したら???? ムダだけどなー バカポリ 明日6月15日東京都練馬区の練馬区役所に爆発物を仕掛け爆破する」
などという書き込みだった。
15年10月13日には、
「10月14日に練馬区役所をプラスチック爆弾で爆破する 覚悟しろ無能 掛かってこいや無能警察」
という書き込みが掲示板「Unionbbs」に出た。何れにも法律事務所も爆発すると書かれていて、13日の書き込みの中に自己紹介として氏名と住所があった。練馬区役所危機管理室によれば、6月14日のものは区役所に発見者から直接連絡が入り警察に通報した。10月13日のものは発見者が110番通報した。そして10月23日にこんな脅迫文が区役所にメールで送られてきた。
「この前予告した者ですが 爆発が起こらずになによりです 今回はガチで爆発しますを 高性能な爆薬を入手したナリ 当職は練馬区役所の施設内複数個所に 爆弾を仕掛けさせていただきましたを」
そして爆破時間は10月26日の午前11時23分と指定し、爆破する目的は自分が目指す優しい世界を創るためだと説明した。最後に、
「ではさよなら練馬区役所職員諸君 当職は本気ナリよ 覚悟しろナリ 全員ポアなり」
と終えた。この3番目の脅迫文には法律事務所の名前は出てこなかったけれども、この言葉使いから、ネットでは法律事務所と関係しているという声があがった。
「警察に捜査を依頼している段階でまだ何もわかっていません」
脅迫文が発見される度に区役所では対応に追われ、不測の事態に備えるため不要不急の来庁は控えるように呼びかけた。警備員も従来の11人から40人に増強し警戒し、警察も15人態勢で配備された。
これで脅迫は3件続き、これまでのところ何事もなく騒動は収まっている。それにしても、なぜ練馬区役所が狙われたのか。危機管理室は10月29日、
「警察に捜査を依頼している段階でまだ何もわかっていません」
と答えた。一緒に爆破すると書かれた法律事務所についても、全く関係はない、ということだった。法律事務所に話を聞くと、答えは危機管理室と同じだった。
犯人が一人なのか複数なのかはわからないが、この3件の脅迫文に共通していることがある。それはネット上で起こった、ある「事件」だ。掲示板「2ちゃんねる」で誹謗中傷を繰り返す人物がいて、不快だと思ったユーザー達はその人物を特定しネット上で吊し上げる報復に出た。吊し上げられた人物は身の危険を感じ弁護士に助けを依頼する。その弁護士は有能だったこともあり「2ちゃん」ユーザーからバッシングの対象となり、弁護士のまとめサイトやwikiが多数つくられ、「尊師」などと呼ばれ、あることないことが書き込まれた。自宅は練馬にあるなどというデマが飛び、口癖は「当職」「ナリ」などと言われた。第二の脅迫文に書かれた名前と住所はこの弁護士を依頼した人物とされ、第三の脅迫文の口調はこの弁護士を意識したものだとネットで囁かれている。ネットで起こった諍いが区役所と弁護士事務所の爆破予告という形に変わったという見方をする人もいて、事件の早期解決が求められている。