一体誰が責任を負担するのか
車名やメーカー名は現時点でほとんど報じられていない。前出の紀藤弁護士は「メーカー名が分からないと検証できないので、本来報じられるべきです。消費者ならここが知りたい情報です。今も走っているとすれば、新たな事故が起こる可能性もありますよね」と話す。
真偽は確認できないが、朴さんの所有車以外の同車種でもガソリン漏れが起こっているという情報もある。15年10月24日付け産経新聞大阪版朝刊や27日付け東京新聞夕刊によると、再審を認めた12年の大阪地裁判決後、千葉県の男性から「自分の車でもガソリンが漏れる」との情報提供が弁護団に寄せられ、その後の調べで青森、三重、滋賀の住民が持つ車でも同様の漏出が確認されたという。ただ、すべてが「アクティ―・ストリート」だったかどうかは分からない。
製造者責任法(PL法)では、欠陥車両による事故で人の身体が傷ついた場合、車両の欠陥と事故の因果関係を立証できればメーカー側に損害賠償責任を負わせられる。ただ、東京PL弁護団のホームページによると「(法施行された)1995年7月1日以前に流通に出された製品」は、損害の賠償を求められない。加えてすでに火災から20年が経過しており、仮に立証できたとしても、制度上、損害賠償を請求できない。
紀藤弁護士はこの点にも触れ、「理屈から言えば製造者責任は問えません。当件が『冤罪』だったとして、一体誰が責任を負担するのか。現在の状況はとても不正義と言えます」と話した。
一方、事件の主任弁護士を務める斎藤ともよ弁護士に「製造者責任」について意見を求めたところ、「まだ裁判が続いておりますので、何もお話しできません」とのことだった。