安全保障関連法に対する反対が収まらないなか、2015年10月25日に投開票された宮城県議選(定数59)では、批判票の受け皿になるはずの野党間で明暗が鮮明になった。法案を「戦争法案」などと批判してきた共産党は議席を倍増させる半面、民主党や社民党は議席数を減らした。
民主党執行部の中でも敗因分析や共産党が唱える「国民連合政府」構想をめぐる態度はバラバラで、戦略の立て直しには時間がかかりそうだ。
民主党、第2党の座を共産党に奪われる
開票の結果、自民党は前回(11年)から1議席減の27議席を獲得。目標としていた単独過半数(30議席)には届かなかった。公明党は横ばいの4議席だった。
野党に目を向けると、共産党が4議席から8議席に倍増させ、第2党に躍進。民主党は7議席から5議席に減らした。維新の党は2議席から1議席に、社民党は4議席から1議席に激減した。13人は無所属で当選した。
共産党の山下芳生書記局長は10月26日の会見で、
「安倍政権の暴走にストップをかけたいという思いが非常に強く表れた選挙戦だった」
と戦果を強調。半面、民主党執行部の選挙戦に対する評価は割れている。枝野幸男幹事長は同日の会見で、共産党の躍進について
「候補者、あるいはこの間の運動量であるとか、地域事情で、それをうまく受け止める構造を持った候補者が共産党は多かったのかな(と思う)」
と述べた上で、民主党の敗因は主に準備の遅れにあるという見方を示した。
「うちはもう少し早い段階から候補者を決めて準備するということを、そうしたことをさらにしっかりやっていかないといけない」
そして、野党間の連携については、現時点では「玉虫色」だ。
「政策の一致度に応じて最も効果的なやり方、それを効果的というのは国民の皆さんにどう受け止められるか、を含めた最も効果的なやり方をとっていきたい」
民主党が「どっちを向いているかが分からない」ことが敗因
細野豪志政調会長は、枝野氏よりも厳しい見方をしている。細野氏は10月27日の会見で、
「全体としては、やはり厳しい結果だと受け止めた方がいいと思う。やはり、どっちを向いているかが分からないのではないか、民主党が。そのことが、残念ながら埋没するという結果につながったと受け止めている」
と述べた。準備の遅れよりも、民主党の態度が鮮明でなかったことが議席減につながったとの見方を示した。その上で、共産党との連携には否定的な考えを改めて鮮明にした。
「しっかり政権を担う政党に民主党を鍛えて、持っていかなければならない。自分自身もそのつもりでやっている。そういう考え方に基づけば、共産党と協力するべきではないというのが私の考え」
菅官房長官、民主の議席減は「非常に印象的」
枝野氏は「全体として与党に対して非常に厳しい状況」とも述べたが、与党側は必ずしもそうは受け止めていないようだ。菅義偉官房長官は10月26日午前の会見で、
「全体を見ると、自民党は、ここはいつもの例だが、無所属で出た人が自民党に後で入党する。いろんなことがあって、そんなにこの結果について一喜一憂することはないだろうと思う」
と述べている。実際、無所属の当選者のうち2人については自民会派への合流が確実視されており、自民県連はさらに1人に合流を働きかけている。この3人が合流すれば自民会派の人数は30人で、過半数を確保することになる。菅氏は
「それと、社民党、民主党も大幅に議席を減らしたのが非常に印象的だった」
と皮肉をつけ加える余裕も見せていた。