「頒布の実態があったのかは調査している」
国立国会図書館の広報係は、取材に対し、「出版物に当てはまるのか、広く頒布されているのか、といった条件で納本してもらうかを決めます」と取材に答えた。これは、同人誌や自費出版でも同じだという。
「亞書」という本については、60巻をすでに納入済みとした。その理由については、「この本は、ハードカバーで製本されており、簡易なものではありませんでした。また、ネット上でも頒布されていたのをこちらで確認しています」と説明した。
一方で、「本の内容では、価値判断していません」と明かした。ただ、ネット上で騒ぎになっており、「頒布の実態があったのか、などは調査しています」としている。これまで不当に高い小売価格で納本されて問題になったケースなどは、「存じ上げていません」という。
アマゾンでは、「亞書」は次々に削除されており、出版社サイトでは、10月26日から期間未定で臨時休業することが告知された。
高額の納本があることについては、国会図書館の納本制度審議会でも議論になっている。
3月25日の審議会では、図書館側は、納本の点数ベースでは取次経由の方が多いが、直接納入は高額のケースが多いため金額ベースでは7割も占めている、と明らかにした。すると、委員からは、「貴重な代償金予算を、本来の出版社ではないところに、こんなに払っている」と批判が出た。審議会の会長さえも、自分のところにも300万円もするセット本の宣伝があったとして、「金額がその半分だとしても150万円くらいの金を食っている」と指摘したほどだ。