制裁解除にらみ、イランとようやく「投資協定」の日本 欧米に出遅れ、挽回策は官民一体の「中東詣で」

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

アザデガン油田権益で日本の復活はあるのか

   資源開発も当然、各国の関心が高い。天然ガスのロシア依存度を下げたい欧州は、早くからイランに注目している。日本は1970年代には原油輸入量の約3割をイラン産が占め、イラン革命で米国とイランが断交した後もイランから輸入を続け、日本の国際石油開発(現国際石油開発帝石)が2004年に世界最大級の油田とされるアザデガン油田の権益を取得した。同油田は経済制裁の関係で2010年に撤退を余儀なくされたが、その開発に改めて日本が参画することにイラン側が期待しているとされ、今後の大きな注目点だ。

   ほかにも、原発や火力発電所、高速鉄道などインフラの整備、製油所の改修、環境技術など、日本が得意とする分野について「経済界は期待している。

   岸田外相のイラン訪問には商社や自動車、エンジニアリング会社など約20社の関係者も同行。これより前、8月中旬にも経済産業省の山際大志郎副大臣(当時)が、やはり大手商社や石油会社など約20社を伴ってイランを訪問している。

   しかし、欧州の出足には及ばないうえ、中国の習近平国家主席が提唱した「一帯一路(陸と海のシルクロード経済圏)」のルート上にイランがあることから、インフラ整備では中国との競合も避けられない。

   「日本の技術力への期待は高い」(大手商社)とはいえ、官民一体での日本の取り組みでどこまで出遅れを挽回できるか。見通しは厳しい。

1 2 3
姉妹サイト