制裁解除にらみ、イランとようやく「投資協定」の日本 欧米に出遅れ、挽回策は官民一体の「中東詣で」

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勤勉で教育水準の高い7850万人市場

   イラン経済にはどの程度の魅力があるのだろうか。原油の確認埋蔵量が世界4位、天然ガスは世界1位という資源大国に加え、人口7850万人と中東で屈指の規模で、「勤勉で教育水準も高い」(商社)ことから、「最大のフロンティア市場」(ジェトロの石毛博行理事長)との声もある。メーカーや商社などは「制裁が解除されて資源輸出が本格化すれば外貨が入り、購買力が一気に高まる」と期待する。

   具体的な分野で見ると、国内生産が2013年時点で80万台を割り込んでいる自動車について、イラン政府は2025年には300万台に引き上げる方針を掲げている。経済制裁前に50万台を売ってシェアトップだった仏プジョー・シトロエングループがイラン自動車大手と協力関係を強化しているほか、独ダイムラーはイランのエンジンメーカーに出資して自動車生産に乗り出す計画と伝えられるなど、伝統的に欧州勢が強い。これに対し、日本勢は、三菱自動車が現在も小規模ながら続けているイランへの輸出を、制裁解除後は拡大する構えだが、欧州勢のシェアを奪うのは容易ではない。

   経済制裁で老朽化が目立つ中距離用の旅客機をめぐる商戦も注目されている。向こう10年間で400~500機の新規購入が見込まれるとの見方もあり、総額は200億ドル(2兆4000億円)に達する。2017年に運行予定の欧州の最新鋭機エアバスA320neo、同じく2017年運行予定の米ボーイング新型機737MAXなどが売り込みを狙う。日本の三菱航空機の「MRJ」にイラン側が関心を示しているともいわれるが、強敵の欧米勢にどこまで割って入れるかは未知数だ。

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