1店舗あたりの売上高はローソンより下
「攻めの一手」を打った格好のファミリーマートだが、経営統合自体には課題も山積している。ユニーとの統合交渉は当初、2015年8月をめどにまとめる方針だったが、約1か月半も遅れた。ユニーが展開する総合スーパー「ピアゴ」「アピタ」の業績が低迷しており、これをどう立て直すかの検討が長引いた影響とみられる。最大で50店舗を閉鎖するとの報道もあったが、15日の記者会見で具体策を示すことはできなかった。来年の経営統合までに、スーパー事業の立て直しに道筋をつけられるかが問われることになる。
店舗網の拡充が実際の集客力向上につなげられるかも未知数だ。1店舗あたりの1日平均売上高はセブン-イレブンが60万円台後半なのに対し、ローソンが50万円台半ば。ファミリーマートは50万円強にとどまり、サークルKサンクスに至っては40万円台と低迷している。サークルKサンクスをファミマ化したとしても、1店舗の集客力でセブンに追いつくのは容易ではない。
肝心のブランドの統一についても、明確な方針は示せず、「引き続き検討する」という段階。いずれファミマに統一するのが暗黙の了解と見られるが、そこには加盟店オーナーの理解を得るという壁もある。コンビニのオーナーは店名への思い入れ、これまで対抗してきたライバルへの名称変更には抵抗感が強いという。
消費者ニーズをきめ細かく把握し、集客力を高める商品やサービスを提供できるかが大きな課題となるのはもちろんだが、ブランド統一をはじめとする一体化に手間取るようだと、統合効果を発揮できない。商品開発や新サービスなど変化が速いコンビニ業界にあって、スピード感を欠いた統合後の戦略は、むしろ致命傷になりかねない。