ええっ、がんをただ見ているだけで治療になるの!?
最後に番組に登場したのが、3年前に前立腺がんが見つかったSさん(63歳)だ。Sさんの治療法というのが、意外や意外、「あれが治療と言えるんでしょうか。主治医はただ見ているだけですよ」(Sさん)。1年に1回、「前立腺針生検」という細胞組織を取り出し、がんの進行度をチェックするだけなのだ。主治医は「まだ、観察でいきましょう」と、それ以上の治療はしない。
星田「コレ、こわいよ~。ほったらかしじゃないですか! Sさん怒っていますよ、医者の怠慢だろうって(笑)。先生、これも治療ですか?」
高橋教授「はい、監視療法です。前立腺がんは進行が遅いのが特徴。最近わかってきたのは、治療しなくてもいいがんもあるということ。あと何年という本人の平均余命と、がんがゆっくり進む成長速度を考えて、PSAで進み具合を見ながら、危なくなったら治療を始めても大丈夫なのです」
星田「確かに治療は体に負担がかかりますから、がんが悪さをしそうになったらパンチを繰り出せばいいわけですね。刑事ドラマにありますが、医学の世界にも『悪い奴を泳がせる』というやり方があるんですねえ」