米国でがん撲滅運動を進めている非営利団体の米がん協会は2015年10月20日、マンモグラフィー(乳房X線撮影)による女性の乳がん検診の指針を見直し、年1回の検診を勧める年齢を従来の40歳から45歳に引き上げると発表した。また、55歳以上は2年に1回とした。
同協会によると、マンモグラフィーで乳がんの約85%が発見されるが、がんではないのに疑いをもたれて、組織の一部を取り出す追加の精密検査などを行った結果、「異常なし」と判断されるケースが少なくない。この際、痛みや放射線被ばくによる副作用などが伴うこともある。また、危険性のない腫瘤を取り除く外科手術によって合併症などを引き起こす可能性も指摘されている。このため新指針では、比較的発症率の低い40代前半では、異常がないのに体に負担がかかる精密検査などをしてしまうリスクを重視した。
ただ、40歳以上で本人が希望する場合は、毎年受けてもかまわないとしている。また、乳がんになりやすい家系の人には適用しない。医師や自分自身が触って乳房のしこりを調べる視触診は、「明確な効果が確認できない」と推奨から外したが、本人が異常に気づいたらすぐに医療機関で受診するよう求めている。
日本ではマンモグラフィーについて、厚生労働省が40歳以上を対象に2年に1回の検診を勧めている。