巨人の賭博事件第2弾が明らかになった。まだあるのか、とプロ野球界は暗雲に覆われ、関係者は首をすくめている状態だ。
笠原将生、松本竜也。野球賭博をしていた新たな巨人2選手である。2015年10月21日に日本野球機構(NPB)の調査委員会が明らかにしたもので、この余波は球界に不安を与えている。
自ら賭けて、顧客も増やしていた
最初に賭博が明らかになった福田聡志に加え、計3投手のスキャンダルとなった形だが、笠原は当初、「自分は(賭けを)していない」と言っていた人物である。実際は野球のほかにバカラ、麻雀などのギャンブルにもはまっていたという。
笠原は2014年には、複数のルートを使い、プロ野球の20~30試合、松本もプロ野球の10数試合に賭けていた。福田はプロ野球、高校野球、大リーグなどに賭けていたとされる。
調査委員会によると、笠原らの賭博行為は携帯電話の復元した履歴から分かったそうである。
記者会見で、巨人は平身低頭だった。
「巨人の調査で判明できなかったことは、調査が甘かったと批判されても仕方がない。ドラフト会議を前に本当に申し訳ない」
野球賭博の胴元は顧客を増やすことに積極的である。笠原は福田を紹介し、自ら賭け金の精算も請け負っていたというから、大きな役割を果たしていたといえる。ほかにも客を抱えているのではないか、との疑いを持たれてもしかたない。
ドラフト会議でも巨人だけ「監督不在」
球界は疑心暗鬼の状態にある。
「これで終わりとなるのかどうか。もし、もっと広がっていたとしたら...ぞっとする話だ」
球界の声だ。当然だろう。
およそ半世紀前の賭博事件も、最初は一選手の名前が挙がり、それを機にあっという間に球界全体に広がった。それだけではない。公営競技にまで及んだ。その大きさから「黒い霧事件」と呼ばれたのだった。
今回はまだ3人だが、一気に広がることもありうる。それを球界は恐れているのだ。
それにしても、球界の盟主といわれる巨人が舞台というのは信じられない思いである。
「タガが緩んでいるのかも...」
原辰徳監督は退任の会見でそう言った。巨人は後任監督の問題でも焦りが見られる。10月22日のドラフト会議では、監督不在唯一の球団として参加。これまでにはありえない状態だった。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)