秋の新作テレビドラマに出演中の、俳優の松坂桃李さんと女優の木村文乃さんが、本当の恋人同士みたいにお似合いだとインターネット上で評判になっている。イケメンと美女の素敵な2人は、過去に何度も共演して息もピッタリだ。
ドラマが縁で本当にビッグカップルが誕生するかどうかは分からないが、実は容姿端麗な男女ほど、ひと目会った時から恋に落ちやすいとの研究結果がある。そんな2人が結婚まで進んだ場合はどうなるか、気になるところだ。
短期間で交際開始したカップルは相手の身体的魅力を感じる
米科学誌「サイコロジカル・サイエンス」に2015年7月14日、興味深い研究論文が掲載された。これは米テキサス大学オースチン校の研究チームが、167組のカップル(67組が未婚、100組が既婚)を対象にした調査に基づくもの。それぞれのカップルから、お互いの関係がどのように変わってきたかを語ってもらい、その様子を録画した。次に録画映像を見て、独自の評価法によってカップルがお互いの身体的な魅力をどう感じているかを分析した。対象者の交際期間は、最短で3か月、最長53年、平均8年8か月だった。
すると、出会って1か月以内に交際を始めたカップルは、互いの身体的魅力を強く感じている半面、最初のデートまで時間を要したり、「友人期間」が長くて交際になかなか発展しなかったりしたカップルは逆の結果が出たという。じっくり準備期間を経るより、「ひと目ぼれ」のように短時間で一気に燃え上がる恋に落ちた2人の方が、それぞれの身体の魅力を強く意識しているということのようだ。
では、どんな人がひと目ぼれしやすいのか。1966年に米国で実施された「コンピューター・デート実験」が参考になりそうだ。大学生を対象に、「コンピューターが相性抜群のパートナーを選ぶ」というパーティーを実施した。実際は相性にかかわらず、ランダムにカップリングして最後に男女それぞれから相手に対する評価を聞いた。すると、誰もが「身体的魅力度」の高い相手に好感度を抱いたという。要するに相手がイケメン、美女であれば評価が高かったのだ。こうなると、美男美女のカップルとなればお互いに好印象を持ち、交際に発展しやすいと考えられるだろう。
初婚で過半数が離婚する米国で「76%が結婚継続中」
イケメンと美女が出会えば、ひと目ぼれしやすく、カップルになりやすい――。そんな2人には、負け惜しみにこんな悪態もついてみたくなるかもしれない。「どうせ結婚まではいかないでしょう」。
ところが、理想のカップルはどこまでも「勝ち組」のようだ。早稲田大学国際教養学部・森川友義教授が、ドラマ「恋愛時代」(読売テレビ、2015年6月18日放送終了)のウェブサイト上で、ひと目ぼれは「決して幻想ではない、否定するのは間違い」と記している。
森川教授は、米国の心理学者アール・ナウマン博士のひと目ぼれに関する研究を引用した。1495人(男性547人、女性948人)を対象に実施されたアンケートでは、ひと目ぼれで結婚した人のうち76%がいまだ結婚を継続中との結果が出たという。米国では初婚同士の離婚率が過半数を超えるが、76%が結婚継続中というのは「びっくりするくらい良い数字」というのだ。統計的には、直感で結婚した方が長続きするということになった。
とは言え、世の中にはイケメンと美女のカップルばかりではないのもまた事実。前出のテキサス大研究チームによると、仮に相手が「高嶺の花」でも、時間をかければ交際につながるチャンスは十分にあるという。実験では、「ひと目ぼれカップル」の方が相手に身体的な魅力を強く感じるとの結果が出たのは確かだが、時とともに相手の第一印象は薄れ、より深く知りあう過程で内面的な相性が重要度を増してくる。中身を磨いてプロポーズすれば、相手が理解を示してゴールイン、なんてことも珍しくないはずだ。