発泡酒、第三のビールは値上げの方向
各社がビール類の中でもビールに力を入れる背景には酒類の税制の問題がある。与党が昨年末にまとめた2015年税制改正大綱では、「酒類は税率格差を縮小・解消する方向で見直す」と明記された。350ミリリットル缶でビールなら77円、発泡酒なら47円、第三のビールなら28円と大きな格差のあるビール類について、ビールを減税する代わりに発泡酒と第三のビールを増税し、55円程度にそろえようというものだ。財務省にすれば、発泡酒や第三のビールのおかげで取れるはずの税金を取り逃してきたとの思いもある。
この酒税見直しが実現すれば、減税の恩恵を受けるビールの需要が高まることは必至。もはや「ビール減税の助走期間」(ビール大手幹部)に入っており、テコ入れしなければライバルに後れをとりかねないわけだ。
しかしここへ来て風向きが変わった。ビール類の税体系見直しは2016年度税制改正で見送られるという報道が相次いでいる。消費税の軽減税率を巡る混乱でビールにまで手が回らないというのが理由だ。とはいえビール類の税率見直しは既定路線であり、遠からず統一される流れは変わらないとみられ、各社はビールへのテコ入れ策に知恵を巡らすことになりそうだ。