「職場で昼寝」でも怒らないで かえって仕事はスイスイ 、推奨する企業も登場

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   仕事中、ふと隣を見たら同僚は机に突っ伏してスヤスヤ昼寝中。「この忙しいのに、なに寝てるんだよ」と、思わず怒りが爆発するかもしれない。

   だが、ちょっと待ってほしい。実は適度な昼寝でかえって業務がはかどり、近年では積極的に昼寝を取り入れる企業まで出てきているのだ。

  • 「起きたら、本気出します」
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難しい課題やストレスが大きい業務を遂行する人に有効

   厚生労働省が2014年3月にまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014」に盛り込まれた「睡眠12箇条」の8番目に、「勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を」とある。その具体的な手法のひとつとして「午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善」と書かれている。夜間に十分な睡眠時間が確保できず、午後に眠気をもよおした場合は「午後の早い時刻に30 分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的」というのだ。ただし必要以上に長く寝すぎると目覚めの悪さが生じるため、30分以内の仮眠が望ましいと補足されている。

   昼寝は、感情のコントロールにどのような影響を与えるのか。米ミシガン大学研究チームの論文が、2015年6月24日付「Personality and Individual Differences」電子版に掲載された。18~50歳の男女40人を対象に、室内でコンピューターを使った課題に取り組ませ、眠気や気分、衝動性に関する質問に答えてもらった。課題の途中で60分間仮眠をとるグループと、同じ時間ビデオを視聴するグループに分けた。その後で課題を再開し、完了するまで続けてもらったという。

   その結果、「仮眠組」は最後まで課題に取り組めたうえ、衝動をコントロールできていたが、「ビデオ組」は忍耐力が続かない傾向が見られたという。研究者は、難しい課題やストレスが大きい業務を長時間手掛けている人にとって、昼寝が有効だと結論づけた。逆に長時間眠らないと、ネガティブな感情のコントロールが難しい、というわけだ。

眠くなったタイミングで仮眠が取れる「パワーナップ制度」

   近年では、職場での昼寝に対する理解が広がってきた。米アップルやナイキ、グーグルのように、仮眠室や、体を入れて眠るための「カプセル」を用意するグローバル企業も出てきた。

   日本国内の企業でも同様の動きがある。住宅リフォームを手掛けるOKUTA(さいたま市)は、「パワーナップ制度」を設けている。「ナップ」とは英語で昼寝を意味し、「社員の健康や仕事効率の向上を目的として」昼食の休憩時間とは別に1日15分程度、「各社員の眠くなったタイミングで仮眠が取れるように制度化」している。

   大阪市にあるITベンチャー企業のヒューゴは、平日13~16時を「シエスタ」と定めている。この時間帯は、同社に電話をしても「ただいま、シエスタ中です」とのアナウンスが流れて、16時以降に連絡するよう促される、と2015年3月16日付の産経新聞電子版が報じている。

   こうした企業が増えていけば、眠気を無理に我慢して効率が悪化するよりは「短時間寝て、目覚めたらエンジン全開で仕事しよう」という考え方がポピュラーになる日が遠からず来るかもしれない。

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