簡易な形で導入し、数年後に本格的なインボイスに移行?
インボイスについては、野田氏も出席した16日の自民党税調の幹部会合でも、改めて慎重意見も出た。一応の方向して、簡易な形で導入し、数年後の本格的なインボイスに移行するという概ね公明党の主張に沿って検討することは確認したが、細かい制度設計は「これまで散々議論しても煮詰められなかっただけに、16年度税制改正大綱をまとめる15年内に決着させるのは簡単ではない」(大手紙経済部デスク)。
インボイスに加え、対象品目をどう線引きするか、税収をいかに確保するかという課題も残る。品目を広げれば消費者は助かるが、社会保障などの財源が減る。財務相の試算では、消費税率を2%上げると税収は5.4兆円増えるが、「酒類を除く飲食料品」に軽減税率を適用して8%に据え置くと1.3兆円もの減収になる。軽減を生鮮食料品に限れば税収は3400億円の減で済むが、生活防衛の効果は限定される。
線引きも難しい。例えば、食料品を軽減するという場合、ファミレスでハンバーグをテイクアウトすれば「食料品」で軽減、店で食べれば「外食」として税率10%となるかもしれない。ドイツでは、実際にそういう線引きだ。また、生鮮食料品とした場合、野菜は軽減対象になるが総菜コーナーの野菜サラダは「加工品」で10%、マグロを切ってパックした刺身は生鮮品だが、何種類かの刺身を盛り付けるようにしたセットは手を加えられた「加工品」扱いで税率10%、といったことになりかねない。
様々な関係者の利害関係が絡み合う税金の話だけに、議論の決着は簡単ではない。