毎年1~2月に流行のピークを迎えるインフルエンザに、2015年は異変が起きている。気温の高い9月に、早くも学級閉鎖となったケースが現れた。
ノロウイルスによる感染症胃腸炎や、RSウイルスが原因の呼吸器感染症の報告も増えている。2015年秋は、感染症に十分注意したい。
インフルエンザワクチンが出荷できない
東京・調布市の小学校では2015年9月16日から2日間、2年生の1学級でインフルエンザに感染した児童が続出して学級閉鎖となった。9月26日付の朝日新聞デジタルが報じた。10月に入ると、茨城県や山梨県、静岡県で学級閉鎖が相次いだ。厚生労働省の10月16日の発表によると、10月11日までに全国で学級閉鎖の措置をとった学校は13都道府県に及ぶ。
例年より相当早い時期の流行も心配だが、気になる点はほかにもある。ひとつは、ワクチン不足の恐れだ。実はワクチン製造会社のひとつが、厚労省の定める製造工程の確認作業に時間がかかっており、10月20日現在までワクチンを出荷できていない。仮にインフルエンザの流行時期に作業完了が間に合わないと、事態が深刻化するかもしれない。
もうひとつは、予防接種の値上げ。これまでは3種類のウイルスに対応するワクチンだったが、今年から1種類増えた。このため、医療機関によって注射代を500~1000円上げているところが多いようだ。値上げにより、予防接種を敬遠する人が増えないかが懸念される。
乳幼児に多い急性呼吸器感染症、肺炎につながることも
通常、インフルエンザに先行して流行するRSウイルス感染症は、2015年も例年と同じように10月までの報告数は増加傾向にある。国立感染症研究所によると、RSウイルスを病原体とする乳幼児に多い急性呼吸器感染症で、発熱や鼻汁の症状があらわれ、重症化すると気管支炎や肺炎につながることもある。
2015年9月16日現在の患者報告数は、2652例に上る。全体の95%が3歳以下だ。現状では、過去と比べてほぼ同程度の報告数だが、冬にかけて増加する可能性も否定できず、国立感染研は、飛沫感染防止のためのマスク着用や、接触感染を防ぐための手洗いの励行を呼びかけている。
10月に入ってからは、ノロウイルスによる感染症胃腸炎の報告も増えている。今年は新型のウイルスも発生しており、例年より流行する不安はぬぐえない。インフルエンザやRSウイルスと合わせて、しっかりした予防が大切だ。