「ええ~、ラジオ体操ぉ~? マジッすか~!」と思ったあなた。ラジオ体操の底力をあなどってはいないだろうか。
ラジオ体操の歴史は約80年。全国隅々にまで広がり、早朝に体操をしている人々がいない公園を探すのが難しいほどだ。実は日本が世界に誇る長寿国である背景には、和食と並んで高齢者を中心に約3000万人の愛好者がいるラジオ体操があるといわれているのだ。
全身の筋肉を使い、正しくやれば意外に高いカロリー消費量
とはいえ、あまりにもありふれた運動なので、健康への効果を医学的に研究した調査は最近まで皆無だった。2012年にスポーツ医学者の中村格子さんが『実はスゴイ! 大人のラジオ体操』という本を出版、50万部以上売るブームになってから、全国ラジオ体操連盟が神奈川県立保健福祉大学に調査を委託した。ラジオ体操を習慣化している60歳以上の約500人と同世代の全国平均値を比べたところ、ラジオ体操愛好者は、血管年齢が若く、肺機能も優れ、骨密度も高く、やや肥満気味の人でも筋肉量が多くて歩行能力が高かった。高齢になると栄養不足の人が増えるのだが、体操で食欲が向上するため栄養バランスもよかったという。やはり、いいことづくめだったのだ。
意外にも、ラジオ体操の消費カロリー量は高い。同じ時間では、ラジオ体操第1は早足ウォーキングより高くて卓球並み。第1よりハードな第2では、テニスのダブルスに相当する。ただし、職場の朝礼などでタラタラやっている場合ではなく、正しい方法でキビキビ体操する場合の話だ。ラジオ体操は第1、第2とも3分強の時間に13種類の動きが盛り込まれているが、専門家たちは優れている点をこう解説する。「古くからある体操ですが、全身の筋肉をまんべんなく動かすように作られているのが見事。第1だけで体に約600ある筋肉のうち400を動かします」「3分間の中に有酸素運動、筋トレ、柔軟の3大要素が凝縮しています。血液循環や新陳代謝が高まり、消化器官の働きがよくなり、筋力アップの効果もあります」。