入場者数が過去最高を更新するなど絶好調のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)で、不正転売が確認されたチケットが使用できなくなる。ネットオークションなどで不正転売をしらみつぶしに確認し、チケットを無効化するなどの対応を行うという。
対応は2015年11月1日から行われる予定だが、すでにチケットを購入してしまった場合もあり、混乱が起こる可能性がある。
買い占めチケットはこの1年で10億円に
USJは10月16日、「不正転売の撲滅を目指します」と発表。11月1日から、転売が確認された各種チケットをすべて無効化、パーク内で使用できなくするとした。
チケットにはそれぞれ番号がひもづいていて、印字されたQRコードを読み取るなどして入場する仕組みだ。運営するユー・エス・ジェイによると、ネットオークションなどで不正転売の出品を確認次第、しらみつぶしに番号を無効化していくという。ただ、今後出品者側が番号を明らかにしないままオークションにかけるケースが増える可能性もあり、どこまで実効性があるかは、はっきりしない。
もともと転売を禁止していた中、今回の対策に踏み切った背景には、チケットの買い占めで利益を上げる業者の存在がある。実際にオークションサイトを見ると、もともと5000円前後のチケットが1万円以上になって多数出品されている。1人の出品者が何枚もチケットを売っているケースもあった。
同社によると、業者は待ち時間が少なくアトラクションが楽しめる数量限定のチケット「エクスプレス・パス」などを買い占め、正規価格の数倍で転売。ひどい場合は7倍の値段がついたこともあったという。この1年で買い占められたチケットは総額10億円に上るとみられている。
業者による買い占め、転売が目立つようになったのは14年夏ごろ。「ハリー・ポッター」の人気アトラクションがオープンした時期だ。昨年度の入場者数は過去最高の1200万人超で待ち時間が増えたこともあり、来場者の心理につけこんで「エクスプレス・パス」が狙われたようだ。
窓口で混乱広がる可能性
今回の措置は業者の買い占めにより、「買いたいチケットが買えない」「しっかり対応してくれ」という声があって踏み切った。業者側がネット上にシステムを組み、数量限定チケットは発売とほぼ同時に売り切れてしまう、という事態が続いていたという。
11月以降、転売されたチケットはすべて使用できなくなることで、入場窓口で混乱が起こるおそれもある。サイトなどでは告知しているが、転売チケットの購入者が知らずに訪れる場合もありえるからだ。
ただ、同社としてはもともと転売チケットを認めていない。チケットにも「換金、売買はできません」と書かれている。購入者には、業者への返金を求める際などにサポートするという。
テーマパークやコンサートなどの入場チケットで転売を認めない場合は多いが、USJのようにすべて無効化にする強硬措置に踏み切るケースはまれだ。