毎日3食マクドナルドのメニューだけを半年間食べて、27キロのダイエットに成功した元高校教師が全米で話題になっている。
この人はアイオワ州の元理科教師のジョン・シスナさんだ。マック好きから絶賛を浴びる一方、マクドナルドの「ブランド宣伝大使」として、各地の学校で講演して回っていることから、食育の専門家から批判の声が上がっている。
映画「スーパーサイズ・ミー」ではドクターストップ
肥満大国の米国では、ファストフードは糖尿病や心筋梗塞などの健康被害につながるという食育が学校現場で広がっている。特にマクドナルドは、2004年に公開されたドキュメンタリー映画「スーパーサイズ・ミー」で、監督自らマクドナルドのメニューを1日3食30日間食べ続けたらどうなるかを実験、体重が11キロ増えたばかりか、肝臓病や性欲減退、うつ症状にもなり、撮影途中でドクターストップがかかったことでも知られ、批判対象の代表格だ。
シスナさんは理科の授業の一環として、「本当に体に悪いのか?」とマクドナルドを毎日食べる「実験」を生徒たちと考案、まず3か月食べてみた。すると体重は16キロ減り、さらに延長して計6か月続けた結果、127キロあった体重を100キロに減らした。249あったコレステロール値も正常値の170に落とした。
秘密は、意外にマジな「ダイエットの王道」にあった
ただし、シスナさんはやみくもにバーガーばかり食べたわけではなく、2つのルールを課していた。
1つは1日の総摂取カロリーを、米食品医薬品局(FDA)が健康の目安としている2000キロカロリー以内に抑え、炭水化物、たんぱく質、野菜などの栄養バランスを考えたことだ。具体的には、朝食は卵の白身とベーコンのマフィン、オートミール、スキムミルク。昼食はサラダとスライスしたリンゴ、フルーツパフェ。夜食はフライドポテト付きのセットなどだ。組み合わせは生徒たちが選んだが、日本とは違う、米国マクドナルドならではメニューが中心のようだ。そして、2つ目のルールが運動だ。毎日45分間のウォーキングを続けた。
シスナさんはインタビューの中で、「サラダばかり食べていたわけではない。ビッグマックやアイスクリームもたくさん食べた。実験の結果、ファストフードが太るというのはバランス悪く食べ過ぎるからで、運動をしながら栄養バランスさえ気をつければやせられることがわかった」と語り、『私のマクドナルド・ダイエット』という本まで出した。
2015年5月にシスナさんを「宣伝大使」に採用したマクドナルドの広報担当は「シスナさんの成功で我が社の商品が健康であることが証明された。シスナさんが、教師として生徒に真実の情報に基づく選択をさせる努力をしていることを我々は支援する」とコメント、シスナさんが講演する際の交通費や手当を支払っている。一方、食育や栄養の専門家からは「不健康な食事を若者に宣伝するマクドナルドの新たな戦略だ」と抗議が殺到している。