維新の党の分裂劇の論点が、松野頼久代表ら執行部の「任期切れ」問題から政党交付金の分配問題に波及し、さらに泥沼ぶりを増してきた。離党して新党「おおさか維新の会」を立ち上げる大阪市の橋下徹市長は、執行部の正当性を批判。「大阪組」の大量除籍処分には「流石、朝鮮労働党日本支部だ」などと罵倒し、「大阪組」で独自に党大会を開いて維新の党を解散し、政党交付金を返納したい考えだ。
対する「東京組」にあたる維新の党の柿沢未途前幹事長は、かつては橋下氏が代表選の先延ばしを主張していたとして、「恥知らずの嘘つき」と非難。政党交付金を「大阪組」が管理している実態を「配下の国会議員が通帳と印鑑をガメて大阪本部に立て籠もる『守銭奴』ぶり」などとこき下ろしている。
橋下氏は「恥知らずの嘘つきになってしまいました」
維新の党執行部は10月15日、橋下氏が主導する新党「おおさか維新の会」への参加を決めたとして12人の国会議員を含む165人を除籍処分にした。処分を受けた「大阪組」は除籍処分が無効だという立場だ。橋下氏はこの時点で維新の党を離党していたが、ツイッターで、
「維新の党は流石、朝鮮労働党日本支部だ。任期切れの代表と執行部が大阪維新の会の地方議員を除籍処分。そもそも彼らにそんな権限はない」
などと執行部を非難。これに対して柿沢氏は、
「昨日まで『円満に分党せよ、協議しろ』と求めていた相手に、要求が満たされないと分かると『実はあなたはもう党代表じゃありませんでした』と言い始めるとは、究極のご都合主義だ」
と「反撃」していた。
10月17日深夜には小野次郎総務会長も「参戦」。フェイスブックに、
「維新の党執行部に対して連日、任期切れと執行部不存在を攻撃している人物が、実は代表任期の延長と代表選先延ばしを提案し執拗に断行を求めた張本人だった」
と書き込み、橋下氏が小野氏らに宛てて7月2日に送ったとするメールを公開した。その中で、橋下氏は、
「党員拡大に合わせて代表選日程を決めれば良いのです。代表任期が多少延びても党にデメリットなどありません」
「ダイレクトに言いますが、維新の党の代表の任期がいつになろうが、少々延びようが、国民には何の影響もありませんし、もちろん党にも影響はありません」
などと代表選の先送りを求めている。橋下氏自身が任期延長を「影響はありません」と発言しておきながら、後に「任期切れ」を理由に執行部を攻撃していることの矛盾を指摘した形だ。
柿沢氏は10月18日未明に小野氏の書き込みを引用しながら、
「これを見れば分かる通り、今や橋下氏は、自らの都合で言った事を180度ひっくり返して、しかも過去の言動は知らんぷりを決め込む、恥知らずの嘘つきになってしまいました」
と改めて橋下氏を非難した。