映画「スター・ウォーズ」の新作が10年ぶりに公開されるのを記念して、全日空(ANA)が映画のキャラクターを描いた特別機を就航させる。1機目がこのほどANAに引き渡され、2015年10月17日に初めて乗客を乗せてフライトした。
乗客は筋金入りの「スター・ウォーズ」ファンばかり。その多くが映画中のキャラクターに扮(ふん)した「コスプレフライト」とも言えるものだった。世界的にも珍しいフライトに、乗客は大興奮だった。
マイレージ会員の応募倍率は1093倍
特別塗装機は全部で3種類がお目見えする予定で、最初にANAに納入されたのが映画のキャラクター「R2-D2」を描いたボーイング787-9型機(215人乗り)。10月2日に米国から羽田空港に到着したばかりだ。
フライトには、スター・ウォーズのコスプレ写真コンテストの応募者から39人、マイレージ会員から25組50人が招待された。写真コンテストの応募者は560人で、倍率は約13倍だった。これに対してマイレージ会員枠には2万7315人が応募し、約1093倍という超・高倍率だった。
衣装を含めると身長が2メートル以上あるとみられるダース・ベイダーの格好をした乗客は、
「どこから来たのか」
という質問には「宇宙」、と答え、「普段は何をしているのか」と聞かれても「ノーコメント」。「これからどこに行くんですか?」と聞かれて「知らない」と言い残し、飛行機に乗り込んだ。
オビ=ワン・ケノービ姿の男性は、
「スター・ウォーズが大好きなので、盛り上げたい」
と応募を決め、機内でもスター・ウォーズをイメージした内装やLED照明に興奮していた。この乗客にとって「何よりうれしかった」のが機長のアナウンスだったという。
機長アナウンス「フォースとともにあらんことを」
アナウンスには
「安全上の配慮からハイパードライブ(超光速航法技術)は用いないことになっております」
「フォースとともにあらんことを」
などと映画の用語がところどころにちりばめられ、乗客からは大きな歓声があがっていた。
フライトは羽田空港を出発し、静岡市、愛知県営名古屋空港(小牧空港)、京都府宮津市、滋賀県大津市、浜松市、伊豆大島の順に通過。約2時間をかけて羽田空港に戻った。
今回の「R2-D2」特別塗装機は10月18日に羽田発バンクーバー行きとして就航し、10月下旬には国内線にお目見えする。その後は成田-サンノゼ、シアトル線を飛び、15年12月以降は羽田からシドニー、ジャカルタ、北京、ミュンヘン、パリ線などを結ぶ。
「R2-D2」以外にも、新作で初めて登場するキャラクター「BB-8」をペイントしたボーイング777-300ER型機が北米路線向けに、「BB-8」と「R2-D2」をペイントしたボーイング767-300型機が国内線向けにそれぞれ登場予定だ。