高齢者の移住多く、「体験ツアー」を経て決める
北海道内で深川市のように、「破格」で宅地を売り出している自治体は他にもある。
石狩平野の北端で深川市と隣接する秩父別町は市街地の周辺部には水田が広がり、1129世帯、2546人(2015年9月末現在)が暮らす、小さな町。所有する38区画の宅地を「1平方メートル1円」で売り出した。1区画約460平方メートルなので、なんと460円だ。
2011年から2年ごとに販売。3回目の2015年が最後で、現在6区画を売出中。ただし、売れ残れば販売を継続する。
町によると、成約済みの32区画のうち、道内の他の自治体や道外からの移住者の多くは、定年後の高齢者で「町の移住体験を経て、住むことを決めた人もいます」と話す。
さらに、噴火湾(太平洋)と日本海に接する八雲町は2007年から、宅地を無償で譲渡している。16区画(計画を含む)を用意。購入した翌年の12月31日までに住宅を建て、居住することが条件。また、5年間は転居できないきまりもある。
すでに3区画が埋まり、自営業の人などが暮らす。現在は7区画を販売(2015年度分)。八雲町でも移住体験ツアーや「お試し暮らし」などを通じて、町のよさを「体験」しながら、検討を進めてもらいたいという。
一般に、移住促進策というと土地の購入や住宅建設のため、助成金制度を設けている自治体が多い。地元の建設業者を使って住宅を建てると、さらに助成金が上乗せされるといった制度もある。
とはいえ、深川市などの取り組みは、PR効果が絶大だ。「道外から移住を希望する人には関心をもってもらえるでしょう」と、北海道庁も期待を寄せる。