皿洗いにストレスを著しく軽くするばかりか、やる気がもりもり出る健康効果があることが、2015年9月、米国フロリダ州立大学が発表した研究でわかった。ただし、真面目に、気持ちを集中させてやることが大事だ。
同大のアダム・ハンリー博士らは51人の学生を2つのグループに分けて皿洗いをやらせ、その前後の学生たちの気分の変化を測定した。
Aのグループには皿洗いの作業手順だけを書いた指示書をあらかじめ読ませ、Bのグループには気持ちを込めて皿洗いをやるための指導書を読ませた。すると、指導書を読んで丁寧に皿洗いをしたBグループは、皿洗い後に、「苛立ち」の度合いが24％減った。また、「やる気」の度合いが25％増えた。一方、手順書を読んで機械的に皿洗いをしたAグループには、何の変化も起こらなかった。
Bグループの指導書には、こう書かれていた。
「皿洗いなんかつまらないと思わず、自分が皿洗いをしていることをはっきり意識し続けよう。立って皿を洗う自分、それは素晴らしい。自分の呼吸を、存在を、行動を感じよう。そうすれば、自分が波に浮かぶペットボトルのように、ふわふわと周囲に流される存在ではないと思えるはずだ」
学生たちは一種の瞑想状態に入り、洗剤の匂いや皿の手触り、水の温度を感じながら作業した。ハンリー博士は「皿洗い1つをとっても、これをやるのだ、というはっきりした意識を持って日常の作業に取り組むと、精神的に良い効果があり、幸福感や満足感が得られることを確かめたかった」と語っている。