入閣で持論を「封印」したとして波紋が広がった河野太郎行革担当相のパーティーで、閣僚が「失言」をネタに次々にあいさつし、参加者の笑いを誘う一幕があった。麻生太郎副総理兼財務相が「謎かけ」で河野氏について「失言が多い」とちゃかしたのに続いて、菅義偉官房長官は「福岡の太郎さん」の失言を「いつも気にしている」とあいさつ。再び会場は笑いに包まれた。
安倍政権で「火消し役」を担う菅氏にとって、「福岡の太郎さん」の方が対応に苦労していることは間違いない。麻生氏は、第3次改造内閣発足直後にも政権として導入への取り組みを本格化させている軽減税率について「『めんどくせえ』って、みんな言ってるよ!」などとかみついたばかり。こういった状況に、思わず本音が出た格好だ。
「河野太郎とかけて何と解く?北海道、釧路と解く」
近くにいる人を楽しませることに長けた「半径2メートルの男」と知られる麻生氏の能力は、2015年10月15日に開かれた河野氏のパーティーでもいかんなく発揮された。あいさつに立った麻生氏は、絶妙な間で、
「河野太郎とかけて何と解く?北海道、釧路と解く。...(その)心は、シツゲンが多い」
と述べ、会場を沸かせた。直後にあいさつした菅氏は、
「失言が太郎というのが多い、という話をしたと言うんですけれども、私は、福岡の太郎さんの失言が、いつも気にしております」
と煽り、再び会場は大爆笑に包まれた。
パーティーは総じて和やかな雰囲気だったようだが、菅氏が言うように「福岡の太郎」の失言の処理には難儀することもしばしばで、やんわりクギをさしたとの見方もできる。10月7日の第3次改造内閣発足後の菅氏の対応を見ても、「2人の太郎」の違いは明らかだ。
河野氏は入閣が決まってから「リニューアル」を名目に、脱原発などの持論をつづった過去のブログ記事を見られないようにした。会見で「(安倍首相と)ベクトルは同じ」などと釈明したが、「持論を封印」「変節」などと批判する向きもあった。ただ、この河野氏に対する批判は正確には「失言」が原因ではない。菅氏の対応もかなりあっさりしており、5月13日発行の夕刊フジに掲載されたインタビューで、
「安倍首相は、河野氏を党行政改革本部長に起用して、その仕事ぶりを注視していた。首相は、党で汗をかいている人かどうかを、よく見ている。意見が異なるのは原発だけだ。首相は彼の突破力に期待している」
と答えている。