目の前でシャンパンの栓が飛び、派手に飾り立てられたデコレーションケーキが運ばれる。なにも結婚式の話をしているのではない。これは国産高級車として名高いレクサスの「納車式」での一幕だ。販売店によって内容は違うようだが、「あまりに盛大すぎる」と話題になっている。
セレモニーの様子はYouTubeにも投稿されており、それを見たネットユーザーは「恥ずかしい」「おもしろい」とさまざまな反応を見せている。
店内にファンファーレが鳴り響き、購入者が紅白テープをはさみでカット
「サプライズを狙って、というところはあります」
東京都内の、あるレクサス販売店はJ-CASTニュースの取材にこう答える。レクサスを購入者に引き渡す際、販売店のスタッフなどが集まり、ちょっとしたセレモニーを催す。花束贈呈や記念撮影だけでなく、シャンパン(ノンアルコール)で乾杯という結婚式さながらの演出まであるという。1時間から2時間にわたる納車手続きの中で5分ほどの短い間だが、こうしたセレモニーがネットで「納車式」と呼ばれ、注目を集めている。
購入客からの反応は上々のようで、前出のレクサス販売店スタッフによると「予想していなかったことが起きた、と喜ばれるお客様もいらっしゃいます」。ただ中には、噂を聞いて「あれ、本当にやるの?」と困惑気味に相談する購入客もいるようで、その時は「お客様に合わせて対応しています」という。「納車はお客様の一番待ち遠しい瞬間です。そうした時をこちらも盛り上げたいという気持ちでやっています」と販売店のスタッフは話した。
「納車式」の様子はYouTubeにもいくつか投稿されている。その中の1つに、こんな演出が記録されていた。白を基調とした高級感あふれる部屋に停車する黒いレクサス。店内にファンファーレが鳴り響き、購入者らしき男性が車の前に張られた紅白テープをはさみでカットする。スタッフが「おめでとうございます」と拍手で迎えると、男性は嬉しそうに少し頭を下げた。その後、「威風堂々」がBGMとして店内に流れる中、男性の運転する車がゆっくり部屋を出発。これを、大勢のスタッフが「ありがとうございました」とお辞儀しながら見送った。
「少し恥ずかしい」か「やってみたい」か
また、購入者らのブログによると、レクサスのエンブレムをあしらったデコレーションケーキがスタッフからプレゼントされたり、購入したレクサスの車内に旅行券やテディベアのぬいぐるみが置かれていたり、という演出もあるようだ。
ただやはり、こうした演出を恥ずかしいと思う人は多いらしい。ネットユーザーの反応も、
「少し恥ずかしい」「こんなん笑っちゃう」
「やってみたい」「おもしろい」
と割れている。2015年10月15日現在、グーグルで「レクサス 納車式」と入力すると、次に「拒否」「断る」「恥ずかしい」といった言葉が表示されてしまう。
ではなぜ、セレモニーを催すのか。トヨタ自動車広報部に取材してみると、担当者から「(レクサス)オーナー様の心に残るような納車をして下さい、と各販売店にお願いしているからでしょうか」との答えが返ってきた。「納車式」は、レクサスが日本で販売され始めた2005年からある販売店独自の取り組みで、メーカー側の依頼によるものではない。一方、メーカーは販売店に「納車専用部屋」の設置と、「心に残る納車」をすることをレクサスの販売条件として提示する。そこからセレモニーが生まれたのではないか、と担当者は語った。