ファーストリテイリング最高益の原動力は「海外ユニクロ」 「売上げ5兆円」目指す柳井氏に立ちはだかる壁

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   ユニクロなどを展開するファーストリテイリングの業績拡大が続いている。過去最高の決算になった原動力は「海外ユニクロ事業の大幅な増益」(柳井正会長兼社長)だ。

   全体の売上は約3000億円伸びたが、その3分の2にあたる1900億円は海外のユニクロ事業で稼ぎ出した。この結果、全体の売上に占める海外ユニクロ事業の比率は35.9%となり、2011年8月期の11.4%から4年で3倍以上に拡大した。

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中国の経済減速も「全く影響ない」

   2015年8月期連結決算(IFRS=国際会計基準)は、売上高に相当する売上収益が前期比21.6%増の1兆6817億円となり、12期連続の増収を達成。

   営業利益は26.1%増の1644億円、当期利益は47.6%増の1100億円で、売上から利益まですべて過去最高を記録した。日本国内の天候不順で夏物商戦が苦戦したことなどで7月時点の業績予想(営業利益で2000億円)から下振れはしたものの、業績は好調と言える。

   少子高齢化で国内市場の縮小が懸念される日本では、2015年8月末時点で既に841店を展開しており、大きな成長は望みにくい。同社は今後も海外シフトを加速させる。

   特に中華圏でのユニクロ事業は急拡大しており、中国、香港、台湾の店舗数は1年間で93店増え、8月末段階で467店に拡大。売上は前期比46.3%増の3044億円、営業利益は66.1%増の386億円に達した。2016年8月期には海外で中国を中心に160店舗を新たに出店する計画。海外ユニクロ事業の店舗数は同期末には958店舗となり、ついに国内の店舗数を上回る見通しだ。

   しかし、当の中国では景気減速が懸念され、代表的な株価指数である上海総合指数も2015年6月の高値から約4割も下落するなど、先行き不透明感が強まり、世界経済の最大のリスク要因になっている。

   それでもユニクロの成長は続くのか。2015年10月8日の決算会見で中国の景気減速の影響を問われると、柳井氏は「全く影響はない」と強調。そのうえで「ラグジュアリー(高級)ブランドはかなり減速していると思うが、我々はずっと好調。中国は輸出中心から、生活中心の経済に変わっていくので、消費財を主にした企業にとってすごく大きな市場だ」と語り、中国事業の将来性に自信を示した。

認知度低い米国では赤字幅拡大

   日本国内のユニクロ事業も2015年8月期に売上収益、営業利益ともに10%前後の伸びを示し、経営は順風満帆に見える。しかし、将来的に「売上高5兆円、営業利益1兆円」を達成し、世界一のブランドを目指すファーストリテイリングには重い課題もある。米欧の市場だ。

   海外のユニクロ事業では、米国(8月末で42店舗)で苦戦が目立ち、欧州(同26店舗)での浸透度も今一つの状態だ。具体的な業績を明らかにしていないが、1年間で17点舗を出店した米国は売上計画の未達が続き、赤字幅が拡大した。米国内での認知度がまだ低いためで、今後は大都市で大型店、旗艦店を拡充していく方針だ。世界一を実現するには、アジアだけでなく、多くの有名ブランドがひしめく欧州でもブランド力の向上が不可欠となる。

   また、ファーストリテイリングはネット通販などEコマース(電子商取引)の事業の売上比率を現在の5%から将来、30~50%に引き上げる方針だが、具体策はまだ乏しく、実現のめどは立っていない。

   一代で日本を代表する衣料品ブランド「ユニクロ」を育て上げた柳井氏の挑戦は、まだまだ続くことになりそうだ。

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