認知度低い米国では赤字幅拡大
日本国内のユニクロ事業も2015年8月期に売上収益、営業利益ともに10%前後の伸びを示し、経営は順風満帆に見える。しかし、将来的に「売上高5兆円、営業利益1兆円」を達成し、世界一のブランドを目指すファーストリテイリングには重い課題もある。米欧の市場だ。
海外のユニクロ事業では、米国(8月末で42店舗)で苦戦が目立ち、欧州(同26店舗)での浸透度も今一つの状態だ。具体的な業績を明らかにしていないが、1年間で17点舗を出店した米国は売上計画の未達が続き、赤字幅が拡大した。米国内での認知度がまだ低いためで、今後は大都市で大型店、旗艦店を拡充していく方針だ。世界一を実現するには、アジアだけでなく、多くの有名ブランドがひしめく欧州でもブランド力の向上が不可欠となる。
また、ファーストリテイリングはネット通販などEコマース(電子商取引)の事業の売上比率を現在の5%から将来、30~50%に引き上げる方針だが、具体策はまだ乏しく、実現のめどは立っていない。
一代で日本を代表する衣料品ブランド「ユニクロ」を育て上げた柳井氏の挑戦は、まだまだ続くことになりそうだ。