南京事件「なかった」論は「まったくやるべきではない」
「南京大虐殺文書」の登録にそのものについては特段の賛否を示さず、文書に書かれている事実関係の精査が重要だとの考えを示した。
「問題は、そこで何人の人が殺されたかというところに、両国の資料が違っている(点)。一方的に中国側の資料で記憶遺産(に登録)ということを言われると、日本側としては『そうですか』というわけにはいかない、というのがおそらく政府の立場だろう」
「こういうやりとりで、何か南京事件そのものが『なかったんじゃないか』『事実と違うのではないか』という議論に持って行こうとするなら、それはまったくやるべきではないこと。事実は事実として認めながら、ただ、記憶遺産として残す以上は、より正確なものを残すというために、両国がもっと真摯な資料に基づく議論をする必要がある」
自身が「河野談話」で関わった従軍慰安婦関連の資料を登録する動きが進んでいることについても、同様の考えを示した。
「日本側は、日本側のこれまでの考え方を述べることになるだろう。それは、生存しておられる慰安婦の方々に対する我々の気持ちも十分に伝えなければならないと思うし、記録に残る前には、どういう形の記録に残るかについて、よく話し合う必要があると思う」