2016年4月に電力小売りが全面自由化されるのに合わせ、新規参入する企業の第1陣が明らかになった。
電力をガスや携帯電話料金とセットで販売するなど、多様なサービスが生まれるのは間違いない。新規参入の各社は具体的なサービスや料金を年内か年明けにも発表する見通しだ。
ガス、石油、商社、清掃組合も
経済産業省は来春の電力全面自由化に合わせ、2015年8月から、家庭向け電力販売を目指す新規参入者の事前登録の受け付けを始めた。80社が申請し、9月に発足した電力取引監視等委員会が電力の供給能力などを審査してきたが、10月8日、NTTグループと東京ガス、大阪ガスが出資するエネットなど40社を小売電気事業者として事前登録した、と発表した。
40社には、新電力大手のエネットのほか、中部電力と三菱商事が共同出資するダイヤモンドパワー、昭和シェル石油、東燃ゼネラル石油、北海道ガス、静岡ガス&パワー、一般財団法人泉佐野電力、一般財団法人神奈川県太陽光発電協会など、さまざまな業種が名を連ねている。大和ハウスグループのエネサーブ、東京都の清掃組合がごみ焼却の廃熱を利用して発電する東京エコサービスなど異業種からの参入も目立っている。第1陣には、大企業向けの電力販売で実績があるエネットやダイヤモンドパワーのほか、ガス・石油会社など自ら発電所を所有し、発電・販売の実績がある企業が並んだ。登録企業は来年4月までに100社を超える可能性があり、大手電力の地域独占が崩れるのは必至だ。
東電、関電は「通信」とセットで迎え撃つ
もちろん、迎え撃つ大手電力会社も黙ってはいない。関西電力100%出資の電気通信事業会社「ケイ・オプティコム」のように、子会社が電力小売りに新規参入する会社もある。
一方、東京電力は10月7日、ソフトバンクと業務提携し、電力小売りの全面自由化に合わせ、電力と通信・インターネットサービスの共同商品を開発し、販売すると発表した。全国約2600店舗のソフトバンクショップを活用し、電力と通信のセット販売を全国規模で展開していく予定という。東電は首都圏ではNTTドコモやKDDIとも提携する方向で調整している。
また東京電力は、関東圏を中心にLP(液化石油)ガスと都市ガスを供給する日本瓦斯(ニチガス)とも業務提携した。ニチガスは約100万戸の顧客を抱え、約6割がLPガス、約4割が都市ガスの利用者となっている。東京電力としてはライバルの東京ガスに対抗するためにも、LPガスが中心のニチガスと組み、一般家庭と法人事業者向けに電力とガスをセット販売する。
各社とも、具体的な料金やセット販売の割引率などは年末以降に発表となりそうで、ここから新規参入の新電力と大手電力会社の競争が激化することになりそうだ。